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第十一話 帝都 6
それはウーリの雄叫びであり、先へ進めとの号砲であった。ハクやロイの周囲を覆っていた闇泥は白い雲に覆われてその力を失っていた。雲龍もまた雲の身体を持つ不定形の神獣なのだ。身体を持たない神獣同士の闘いは身体が流転しない者達には理解出来なかった。悲鳴と雄叫び、激突音や爆発音が響くが、ただただ白と黒の流転が目まぐるしく周囲を走り回っているだけなのだ。
「行こう、ハク。闇泥は俺たちでは太刀打ち出来ない。ウーリに任せよう。」
でも、と言いかけたハクは言葉を飲み込んで、頷いた。
「直ぐ戻るから!それまで頑張ってねウーリ!」
大きく叫んだハクの声はウーリに届き、ウーリはそれに咆哮で返した。彼らの間には不動の友情があり、それは決して揺らぐことがなかった。彼らは世界を救うことも、再び皆の笑顔を見られることも信じて疑わなかった。
しかし、彼女たちは再開することなく――そして、世界は滅びる。




