第三話 凶報 3
へらへらしたしりとりは再開されなかった。クウもハクもロイも胆を括った。彼らは森の中で円陣を組んで座っていた。一番最初に立ち上がったのは……いつもそうだが……クウだった。
「行こうよ。僕たちの未来はあの壁の向こうにある。」
そうだ。いつも未来は障壁の向こうにあるのだ。ここにはない。付けた足跡では世界は救えない。未踏の大地にこそ、解決の鍵があるのだ。
解決の鍵が?本当に?マジで?それマ?
確証は無い。だが、今ここに無い以上、進むしか無い。海や、川や山の神さまの上に位置する鍵の守護者を超える大神は「お前達のことは愛していない。」とそう言った。その話しを聞かされたクウは仕方が無いと想った。誰かがどう想うかについては他人がとやかく言うことでは無いのだ。同時に、
僕は僕を愛するし、僕が愛したい人を愛するよ。この魂に代えてもね。
そう、想った。そう誓った。
……僕は諦めない。
「僕たちは死ぬかも知れない。でも、ラスを放置する事は世界が滅ぶかも知れないことを見て見ぬ振りすることと同じなんだ。だから、僕はやるべき事をやる。」
クウは大きく息を吸って、世界に向けて吐き出した。
「逃げて震えて全てを誰かのせいにすることは楽ちんで気持ちのいいことだけど、僕は気付いてしまったんだもん!このままでじゃラスに大好きなこの景色を引き裂かれるってことに。いいじゃん別に!自分が気にいらない世界あったって!自分が理解できないヒトが居たって!受け入れられなくたって排除する権利なんて無いんだ!全部!全部だよ!太陽も月も戦っちゃ駄目だ!騒音も静寂も等しく、大切なんだ!生も死も繋がっているんだ。神もモルフも無いよ!ただ全部、皆がこの世界に生きているだけなんだ!僕は諦めない!例え神さまが見放したとしても!!」
クウは一気に話して、ここで大きく息を吸い吐き出した。落ち着いて話を続ける。
「僕は行くよ。皆はどうかな?」




