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第十話 決戦。3
ロイは仕掛ける事に決めた。
(ハクは隙を見せないだろう。であれば、最大効力で技を行使出来る内に仕掛けておくべきだ。)
ロイはハクの動きを測り、読む。ロイは決めていた。既に体中の筋は断裂してオイルは漏れている。いつ行動不能になってもおかしくはない。
(この後、最も早いタイミングでハクが仕掛けた瞬間に全力で勝負を挑む。)
ロイは大きく深く呼吸をする。魂気を練り上げて、その時を目指して準備を進める。
(彼女の最後の術の験は何だろうか。いや、何であったとしても、挑むしかない。ここを乗り越えて俺は、六角金剛になり、街を滅ぼうとしている世界から守るんだ。そうだ。父の腕と角。そうだ、俺はもう後戻りはできないんだ。)
ロイは荒れ狂うハクの連撃の渦の中で決意する。
……次に大きく飛び跳ねるタイミングで白死を仕掛ける。




