表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第二章 夜の帳。
35/425

第九話 傍観者。



 舞闘場にある貴賓席……黒丸と渦翁がひそひそ話を続けている席……の背後には水紋国国旗の掲揚塔があった。観覧席の最上部から更に五十メートルは高く伸びる。塔の最上階には、舞闘の開始終了を告げる銅鑼がありその屋根の上に国旗掲揚用のポールが備えられていた。舞闘がある日は必ず、国旗が掲揚される。当然、本日も掲揚され、海風に勢い良く靡いていた。その、横。


 「そろそろロイも限界かな。」


 ハクとロイの舞闘を観戦するモルフが一人いた。勿論、この様な場所からの観戦は禁止されていて、見つかれば、厳しく罰せられる。だが、彼は落ち着いた様子だ。彼は成体クラにしては小柄だった。ヘルメットを被り、ゴーグルを装着している。口元はバンダナで覆っている。背中には色々な工具が入ったリュックを背負い、汚れた作業着に安全靴といった出で立ちだった。そして、包帯。身体中に包帯が巻かれていた。まるで全身に火傷を負っているかのような包帯の巻き方だ。彼は首に巻いている数珠が気になるのか、そわそわとひっきりなしに触っていた。そこは見晴らしの良い場所で誰に見つかってもおかしく無かったが、彼は気配を消す事が得意で、これまでに一度も咎められた事は無い。


 彼は、今日も舞闘場の最上部からひっそりと舞闘を観戦していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ