第八話 極北大陸 5
ロイの測定に拠れば、クウの天候変異はぴったり直径百キロメートルの範囲の天候を操ることができた。クウが試したのは晴天、風雨、影曇の三つだったが、その他の天候にも変換できそうだった。ただ、そもそも極北の大地の気候は厳しいので、状況を悪化する天候は試さなかった。テスト以降はずっと晴天を選択していた。一度、術を行使すれば一時間は天候が続いたので、クウは晴天を継続させることができた。
「はー。太陽が気持ちいいねぇ。」
風に当たるとやはり極北の大地なだけあって、かなり寒かったがそれでも陽光は暖かで気持ちよかった。トト達は思い思いにウーリの上に寝そべって体毛を陽光に晒し、毛繕いをしていた。
「クウ。そろそろだ。零鍵世界図に拠れば、そろそろ極北大陸の中央部に到達する。そして、そこにはもう一人の虹目が眠っているはずだ。」
ロイは天蓋付きの鞍の中にから顔だけを出しているクウに告げた。クウはいつもの笑い顔だ。ロイは寒さを感じないので天蓋の外で周囲を見張っていた。彼のレーダーはとても優秀で十キロメートル先の小鳥さえも見つけることができた。クウの上からハクも首を出す。
「まじ?オオクジラ?見たいな。」




