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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第十一章 最後の旅。
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第八話 極北大陸 5



 ロイの測定に拠れば、クウの天候変異はぴったり直径百キロメートルの範囲の天候を操ることができた。クウが試したのは晴天、風雨、影曇の三つだったが、その他の天候にも変換できそうだった。ただ、そもそも極北の大地の気候は厳しいので、状況を悪化する天候は試さなかった。テスト以降はずっと晴天を選択していた。一度、術を行使すれば一時間は天候が続いたので、クウは晴天を継続させることができた。


 「はー。太陽が気持ちいいねぇ。」


 風に当たるとやはり極北の大地なだけあって、かなり寒かったがそれでも陽光は暖かで気持ちよかった。トト達は思い思いにウーリの上に寝そべって体毛を陽光に晒し、毛繕いをしていた。


 「クウ。そろそろだ。零鍵世界図に拠れば、そろそろ極北大陸の中央部に到達する。そして、そこにはもう一人の虹目が眠っているはずだ。」


 ロイは天蓋付きの鞍の中にから顔だけを出しているクウに告げた。クウはいつもの笑い顔だ。ロイは寒さを感じないので天蓋の外で周囲を見張っていた。彼のレーダーはとても優秀で十キロメートル先の小鳥さえも見つけることができた。クウの上からハクも首を出す。


 「まじ?オオクジラ?見たいな。」

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