第七話 極北大陸 4
「でもさ。クウのオーロウって、変な技だと想ってたけど、どんどんすごくなるよね。だって、最初は何が起こったか全然判らなくて、でも攻撃を回避することができたじゃん?その後暫くはさ、覚えてる?クウははオーロウを回避に使ってたんだよ。みんなもさ、最強の回避術だとか言っちゃってさ。で、その後、クウはオーロウをカウンターの入り口として使い始めたよね。相手の最大練術をオーロウで躱して、反撃するっていう使い方。あたしは怖かったから余り好きじゃ無いけど、でもそれで急激にクウは舞闘会でランクを上げていったもんね。でも、今はまた別の状態になったよね。攻守一体の隙の無い攻撃になったよね。」
キョクホクグマを倒して暫くした時にハクがそう話し始めた。最初、クウはハクのその話に答えようとしたが、急に思い付いた。
「あ。僕の術が全部判ったんだった!試さなくちゃ!」
皆も急に思い出して同意した。その後、ウーリの背中であれやこれや議論して、今日は少し早く着陸してクウの術を試そうと言うことになった。少し旅の進捗は遅れるが、クウの強力な術をしっかりと確認しておくことが、この旅の最終目的に合致すると判断したのだ。
そして、極北大陸の中央部に差し掛かる前に彼らは着氷して、テントを張った。クウの練術の確認が始まる。
極技、鬼月乃焔。
クウは差し出した両手の間に強く息を吹き込んだ。それは火山の噴火のような巨大な焔となり、周囲の氷を溶解した。その焔の温度を計測していたロイはおおっ、と歓喜の声を上げた。
「クウ。すごいな。超高温の焔だ。大喝破さまの極術光の柱や逐鹿さまの極術六白崩同じレベルだ。恐らく、鬼月乃焔で焼き切れない物は無いだろう。」
ハクやトトがきゃっきゃ喜ぶのを脇目に、次の術の確認に進んだ。
極術、天候変異。
クウが術を行使すると、突然、空は開いて輝き、日光がこの極北の大地に降り注いだ。トトが素早く周囲を伺って報告する。
「凄いですよ、クウさん!直径何十キロメートルもの範囲で、雪雲が消えました。青空が出現しました!見てください!びっくりして極北の大地に居る全ての生物が空を見上げています。」
「確かに――。」
クウは自分で術を行使しておきながら発生した事象に驚いていた。しかも、これはクウの一番の問題を大きく改善してくれた。
「晴れた!!ちょっと暖かいよ!!」




