第三話 旅立ち 3
結局、みんなでロイにごめんなさいをして、ロイが起こした巨大なたき火を囲んで、それぞれの体を乾かした。たき火をウーリが丸く取り囲んでいたので、皆、ウーリの体を暖かなクッション代わりに使っていた。幸いにも、風は止んでいた。
「あのな。次は無いぞ。」
ロイが釘を刺して皆、しゅんとなった。もそもそと完全食を飲み込んで雲龍の暖かな毛皮に埋もれてその夜を過ごす。トカゲモドキモルフのクウは人一倍寒さに弱く、炎とウーリの間を行ったり来たりしながら、今後についてハクとロイと語り合った。
「今ならまだ変更が聞くけど、このルートで良いかな?」
クウの最終確認にハクもロイも頷く。トトはウーリのヒゲで遊んでいる。ウーリは全てをしたいようにさせていた。
「じゃ、決定だね。最短距離の大海上を帝都に向けて横断するんじゃなくて、ほぼ陸続きのの極北ルートで進むよ。最短距離よりか一割ほど距離が遠いけど、途中、殆ど陸続きだから、何かトラブルがあっても臨機応変に進める。大海上ルートだと、下は海だから、休むこともできない。それを判断の基準に極北ルートを選択するから。」
最初は、水紋から持ち出した世界地図を見て三人はあーだこーだ言っていたが、何時の間にか、皆、睡眠の波に包まれて沈んでいった。ウーリは彼らをぎゅっとして風邪を引かないように包んだ。寒さに関係ないロイだけが眠らずにウーリと供に皆を見守っていた。穏やかな夏の波が永久のリピート奏でていた。
「ウーリ。寝たらどうだ?俺は寝なくても問題ない。光か熱があれば永久に活動できるんだ。」
ウーリは嬉しそうに、ぶろろろろと、のどを鳴らした。それを最後に幸せで平和な……東方大陸での最後の夜は過ぎていった。そう、これは彼らの東方大陸最後の夜だった。結局、彼らは東方大陸に帰ることは無いのだ。何故ならそう――世界は滅びるのだから。




