表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第十一章 最後の旅。
326/425

第二話 旅立ち 2



 雲龍の速度は恐るべきものだった。旅立ちのその日の内に水紋の国があった東方大陸の北端に達した。そのまま飛び続けようとするウーリを言い聞かせて、彼らは海岸に降りた。ごつごつとした岩だらけのとても寒い海岸だった。


 「海水浴って感じじゃ無いね。」


 ハクは両手で自分を抱きながら、寒そうに言った。薄いワンピースがひえひえとはためいた。


 「そうですね。むしろ、水は嫌いなので好都合です。」


 ハクの式神のトトが雲龍のまゆ毛の中からハクに返した。とても暖かそうなトトを見て、ハクはむくれた。


 「君はいいよね。あったかそうで!」


 言いながらハクはトトをウーリのまゆ毛から引き摺り出して、頭上に掲げて走り出す。式神とモルフは一心同体だから、トトは直ぐにハクが何をしようとしているのかを察した。


 「ああ!駄目です!風邪を引いちゃいます。海に入ってはいけま――。」


 ハクは持ち前の情熱で極寒の海に飛び込んだ。トトを心配したその他のオコジョが次々とウーリのまゆ毛から飛び出して、トトの後を追う。全員が海に飛び込んで大騒ぎだ。


 「ちょーーー!何してんのハク!だめだってばさ!」


 強風の中でキャンプの火起こしをしていたクウは、彼女たちに気付いて叫ぶが、楽しそうな雰囲気が気に入ったウーリの尻尾に飛ばされてクウも海に落ちた。ウーリも後を追う。海水が天敵のロイだけはとっくの昔に空中に待避していた。マシンフェイスで呟く。


 「……何テンションだ、それ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ