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第九話 新たな日々 9
「はい。じゃぁ最後に祝詞を上げてお仕舞いです。」
ミントは上機嫌で宣言した。ハクも愛らしく、はーい、と返事をしている。急に仲良くなった二人が気持ち悪くてロイとクウは目配せする。まぁ、仲良しならいいけどね。彼女たちは決まり文句のあんのくたーさんばーくさんほーでぃを繰り返して、星神様にお礼を伝えた。頭を上げて最後に一拍した瞬間に御鏡が割れた。
「わ。縁起わるぅ。」
クウはそんなこと全く信じていないが、なんとなくそう言った。ハクはパパに怒られるかもと想い、直ぐに片付けることにした。割れた御鏡に手を伸ばすハクにミントは大声を上げた。
「駄目!触らないで!!」
ハクはびっくりして手を引っ込めた。先程まであんなに仲良しだったのにそんなに強く言わなくても、と感じたのだ。ハクのヒゲがしゅんとなる。
「違うの。これ、神託なの。星神様からのお告げなの。」
言いながらミントは必死に割れた鏡の形とそれが映す虚空から、御言葉を読み取った。そして、美しい毛皮の輝きを減じるほど驚きながら、ミントはみんなに伝えた。
「……ラスが、ラスが生きているわ……。」




