第三話 新たな日々 3
「クーーー!!おーーーい!!」
クウは直ぐに理解した。忍のポーだ。相変わらずの黒尽くしの和装だ。クウは嬉しく思う。一体、どれだけぶりだろ?そして、この絶望の中で一番新しい友達に会えたことがとても心強かった。兄ちゃんが元気だったらいいな。しかし、近づいてくる彼の姿が明らかになるにつれ、クウの顔から笑顔が引いていった。ポーは血だらけ傷だらけで左腕の肘から先が無くなっていた。包帯でぐるぐる巻きだ。
「ポー……。」
直ぐ側まで来たポーにクウは力なく声をかける。クウの目線でクウのテンションがだだ下がりの理由を察してポーは応える。
「生きてるよ。俺は。ちょっと身体が軽くなっちゃったけど、まぁ悪くないよ。クウは?元気か?変な格好になったな。包帯取れたんだ?」
真面目なポーの軽口がくそ真面目なクウの心に刺さる。嬉しくもあり、痛くもあった。しっかりしなきゃとクウは想った。二人の様子を見てハクも立ち上がった。そうだ。自分たちはまだ生きている。死んだ仲間を弔わなくてはならないし、苦痛に呻く仲間を助けなくてはならない。ここで震えている訳にはいかないんだ。すらりと立ち上がるハクの毛皮を朝日が撫でる。艶やかに輝き、まだ、零鍵世界は続くのだと宣言をしているかのようだった。




