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第三十四話 輪廻転回 10
……クウの瞳から涙が零れ、それが大地に落ちた時に魂の大爆発が起こった。
ラスは自身の首を引きちぎり、上空に投げる。その顔には苦痛と狂気に歪む笑みが拡がっている。遙か眼下、地上で生き残ったことに歓喜の声を上げるクウを見下ろしていた。
(このまま、充分な距離まで離れて、俺の剣でこの苦痛をクウに――。)
「さらばだ。」
ラスは眼だけで振り返る。六角金剛羊王角渦翁がそこに居た。血だらけの身体を酷使して飛翔したのだ。渾身の金剛錫が振り下ろされる。ラスの頭部は砕かれて、大渇破が開けた霧街の大穴に落ちていった。ラスが穴に飲み込まれると世界中を巨大な空振が覆い……それは直ぐに落ち着いて、そして――世界は静かになった。




