第三十話 輪廻転回 6
禍!
ラスはそれが精一杯だった。それ以上の魂気を使えば、神獣雲龍の攻撃に耐えられない。だが、それで充分だった。相手はただのファンブルだ。ラスの予想どおり、そのファンブルは回避することも出来ず真っ直ぐ落ちてくるだけだ。羽刃に体中を切り裂かれて大怪我を負い、大量に出血していく。それでもそのファンブルはただ、落ちてくるだけだった。ラスはそのファンブル……確か脱落した最後の子で、クウと言う名だ……への興味を無くし、雲龍に攻撃を移そうとした瞬間、クウの瞳の光に気付いた。
(諦めていない?)
ラスは理解した。クウは抵抗出来ずに落ちてきているわけでは無いのだ。クウはラスの攻撃を耐えきって、ラスに止めを刺す覚悟で突進しているのだ。逃げも怯みもせず、闘いを挑んで居るのだ。ラスはぞっとなった。怖くて叫んだ。
「何をどう計算したら、勝機が残るのだ!無理だ。敵わない。この私に勝てるわけなど無いのだ。今だって死にたくなるような激痛の中じゃねぇのか!私に攻撃が届くまでに体中がバラバラになる。判らないのかねぇ!?」
「勝負だぁぁぁああああっ!」
ラスは絶望する。
(勝負?正気か?このモルフは本当に闘いを挑んでいるのだ。しかも、こいつには勝算がある。何故だ?何が出来る?)
焦ったラスは最後の魂気を振り絞り、額から闇雲の剣を突き出した。それは恐ろしい速度でクウの眉間に向かって伸びる。クウは笑う。クウには見えていたし、そして、当然。
「オーーーーーーーーーロウ!!!」




