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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第九章 擬人種。
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第二十二話 神々の眷属《アドミニオン》 13



 「では、正式な報告を待つ。いずれ。」


 一メートル四方の石で出来た無表情な巨像はそういって、再び、一欠片ずつ上空に去ろうとした。その瞬間に巨像の右脛が唐突に消滅する。倒神の宝剣「曙光」が抉った。巨像は大きく傾ぐ。大空から無数の石が降り注ぎ、霧城は悲鳴に包まれる。だが、当事者達は意に介さない。


 「現神王コン?何でも良いが……最強の魂気マイトを持つ者とみ見た。一舞お願いしたい。」


 闇が濃密となり人型を維持していた。すらりとした長身の闇がフードを被ったまま神々《アドミニオン》に挑む。渦翁の術で回復した夏至夜風が、最強の好敵手を認めて、神に挑んだのだ。彼の逆さについた顔に縦に並ぶ瞳が見る者の狂気を誘う。


 「何という、魂力マイトだ。これが変異シリルか。実に興味深い。ががががががががが!」


 笑いながら体中の石を撒き散らして、現神王コンは倒れこむ。その背の直下には崩れた霧城があり、今、現神王コンが倒れこめば、皆、巻き込まれて絶命するだろう。だが、現神王コンは当然、夏至夜風もそのような些末な事象に興味は無い。彼らが気にしているのは世界の帰趨であり、強者との舞闘だった。それ以上でも以下でもない。遠吠えのような笑い声を発して現神王コンは背中から倒壊する。

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