第十三話 神々の眷属《アドミニオン》 4
大跳躍!!
黒兎は自慢の大技を行使した。空の果てまで届くと言われる――彼がそう言っているだけだとの噂なのだが――大跳躍だ。コクトはシキを抱えたまま、跳んだ。一瞬でラスもセアカも通り越す。すれ違うその瞬間にシキとセアカの視線は交差して魂気が繋がる。
――長くは保たないぞ。
――待たせないよ。
友人達は刹那刹那の間に最後の言葉を交わした。シキとコクトはそのまま雲を突き抜けて大空を飛び進んで、空が薄くなるその場所に到達した。コクトの大跳躍は漸く減衰してその速度を落とす――と供に、シキにとっては驚愕の風景に出くわした。
「マジカ。」
大跳躍の先に待っていたのは空の限界、天蓋だった。彼等の目の前には無限の壁が聳え拡がり、世界の外殻を示していた。
「なんだよ。いつもいってたでしょ?僕は空の果てまで跳べるってさ。」
くりくりの瞳で黒兎は笑う。遅れてシキも笑う。馬鹿笑いしながら、一瞬に全ての感情が溢れて流れた。
――多分、俺はもうすぐ死ぬ。だが、ああ。世界にはまだまだ知らないことがあるんだ。残念だが、それを知れただけでも十分だ。俺は、この不思議に満ちた世界を護るんだ。
シキの決意と供に、コクトの跳躍力と零鍵世界の重力が釣り合い、彼等は世界の頂上で静止する。丁度、天蓋に着地する。コクトはぐぐっと踏み込みしなり、魂気練り込んでいく。天蓋がみしみしと軋む。
「さぁ、これが僕の本気だ。全力の大跳躍で地上を目指す。最大速度に達したら、キミは行けよ。全て任せるからさ。」
シキは言葉無く同意して、黒兎は叫び、練術を行使する。
極大跳躍!!
天蓋に巨大なひび割れを生じさせてコクトは地上に向けて跳躍した。




