第十一話 霧街に隠されたモノ 7。
念鏡が設置してある部屋の入り口の床は隠し扉になっていた。渦翁は誰が協力してこの扉を作ったのか突き止めなくてはならない、と考えた。扉は精巧に緻密に作られており、閉じている間はまったくその機能を想像できる要素が無かった。
(それだけじゃ無い。評議場を大改装したと聞いているが、改装は一晩で完了している。この大改装について、その人夫をどうやって捻出したのか、評議場がどうなったのか、八掌でも情報は取れなかった。ラスめ。一体……。)
渦翁はいびつな部屋の下に続く隠し扉を自慢げに開くラスの背中を見つめながら、思案していた。
(誰も気付かない間に評議場の壁は二倍の高さになり、まともな評議員は閉め出されて、異形たむろするようになった。どうやったのだ。そんなことは不可能だ。誰もならず者達が評議場へ入っていくところを見ていない。いや、壁を建設するところを見たものすらいない。)
「なにその殺気?」
ラスは薄く振り返って、渦翁を見据えた。床下の部屋もこの部屋と同じくらいに怪しい光が明滅していて、それがラスの横顔を不気味に照らす。渦翁は感情の気配を漏らしてしまった自身の未熟さを悔いた。ラスがその気になれば、自分では敵わない。六角金剛の中でもまともに相対することが出来る者はまず居ない。
「まぁいいや。とにかく歓迎するぜぇ。見ろよ。俺の秘密基地。」
ラスはするりと地下に降り、ロイがその後に続いた。渦翁も後を追ったが、部屋に入る前にロイの絶叫が響いた。




