第四十話 称名池4。
ちちちち。
リドは鳴いて飛び立った。高く高く飛んで洞窟の天井に空いた穴から高大な世界に飛び立った。クウは取り残される。色とりどりで水に満ちた美しい洞窟の中に。そこは大量の水が滝壺に落ち込む音と風だけが充満した薄暗がりの世界だった。薄闇が弱々しい光の美しさを引き出し、微かな光が闇の濃さを際立たせていた。
(クウよ。聞くのだ。)
大喝破は語り始める。
(……虹目の誕生から全ては始まった。彼?それ?が生まれた瞬間を知る者は神以外にはおらん。じゃが、いつの間にか虹目は存在していた。そして、ある日、この世界の……零鍵世界の守護者……神、日輪と争いを始めたのじゃ。モルフが反抗すると考えていなかった神は不意打ちを受けて、守護者だけが持つ鍵を奪われた。そして神は滅び、全ては変わった。歩む者や漂泊者は零鍵世界に現れなくなり、ファンブルが発生するようになって、モルフに子が生まれなくなった。空の眼が猛威を振るい、流動する闇は世界を食べ続けている。)
そこで大喝破はため息をついた。それは滝壺を揺るがし、洞窟の天井から、欠片が剥がれ落ちた。大喝破は続ける。
(クウよ。世界は滅びようとしている。その烏頭鬼とやらが何故、霧街に現れたのかは知らぬが、烏頭鬼が居ようと居まいと結局、我々は滅びるのじゃ。無駄じゃ。クウ。)
そして、クウは絶望を聞く。大喝破は感情のこもらない疲れ切った声で告げる。
(……死のう、クウ。世界と供に。)




