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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第六章 リツザン。
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第三十五話 防戦。



 渦翁の嘆きは的中した。いや、ラスの予言が実現しただけなのかもしれない。烏頭鬼達は蜘蛛の下半身に鬼の上半身を持つ巨人を召喚した。水紋の国はその巨人に自国の伝説に習って塵輪と名付けた。その巨人は体高二十メートルでジズ川の最深部に進んだとしても、頭部が水面に出る大きさだった。烏頭鬼の黒い軍勢はその塵輪を橋脚としてジズ川に沈め、その上に板を張り、巨大な橋を架けた。僅か一日の出来事だった。沈められた塵輪は表情一つ変えず、黒く変質して微動だにしなかった。ともかく烏頭鬼の黒い軍勢は自軍の屍の上を行進して、ジズ川の浅瀬を繋いで渡りきった。総勢二十万の軍勢だった。水紋の国の正式な舞闘者の十倍の数だが、戦える民間人を含めると勢力は逆転し、烏頭鬼二十万に対して霧街は五十万だ。練度を考慮すれば、絶望する様な差ではなかった。優秀な指導者が軍を導けば、勝利することが出来るだろう。但し、相当数の犠牲者が出る。戦いに勝利しても国が滅びるかもしれない。いや、それを言うなら元々、世界は滅びに向かっていた。烏頭鬼が攻めてきても来なくても霧街は滅ぶのだ。結末は変わらない。だが、彼らは戦う。何故だろうか?理由は単純だ。皆、自分の人生を生きたいのだ。いずれ結局は死ぬ。それからは逃れることが出来ず、必ず追いつかれる。そして、全てを失って死ぬのだ。結末は用意されていて必ず、デッドエンドだ。でも、彼らは戦うのだ。自分を生きるために。


 「東大門に胆月の第一師団率いる軍団十五万を配置する!正門は一文字の第二師団率いる軍団十万だ!西大門にはセイテンの第五師団の総勢五万を配置!残りの街人は全て霧城に待避させる。残りの軍団二十万は私、渦翁が管理し、霧城の防衛に当たる!それぞれ門を可能な限り長く防衛するのだ!」


 評議会から、この戦の元帥として任命された、六角金剛の渦翁が叫ぶ。軍勢は軍靴を鳴らし、地響きを立てて鬨の声を上げる。渦翁は一瞬だけ目を閉じて想う。


 (……全てはこの戦いで決する。戦いきり、生き残らねば。)


 そして、彼は眼を見開いた。決戦の時だ。

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