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第十四話 一乃越2。
――深夜。
クウは、気配を感じて目を覚ました。
(あいつだ!)
闇の中からクウを見つめてきた巨大な顎、大地を這いずる存在。その闇の顎はアマトの大雪崩にも巻き込まれること無く生き延びて、いつの間にかクウはその顎に近づかれていた。クウはそれに感づかれないように、闇の顎の魂気を探ることはせずに流れてくる情報だけを受け取っていた。それは近くにいた。恐らく数百メートルの距離だ。あの夜と同じようにざりざりと夜の大地を這いずり回っている。
クウを探しているのだ。
何故だろうか?クウには判らなかった。だが、顎がクウを探していることは間違いなかった。クウは以前もそうした様に魂気を整えて闇に大地に世界に溶け込んでいく。オーロウを発動する寸前の魂気の波長に整えていく。世界と同化したクウを闇の顎は見失って夜山を彷徨う。時折、悲しげな遠吠えが響き何故だかクウは少し寂しい気持ちになった。そうしている内に闇は深まり、薄らいで……クウは、希望が見いだせないまま新しい日を迎えることとなった。




