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第一話 裏町の死1。
野生の狂乱に包まれた胆月は絶望を見た。ジズ川の向こうに十万の烏頭鬼の軍勢が姿を現していた。戦塵を巻き上げて進軍している。戦太鼓が鳴り響き、鋭い爪が大地を打ち付ける。空さえも翼を持つ烏頭鬼が覆い尽くしていた。理性の無い胆月は唸り……風が吹いて……そして、風が舞って……闇色の切れ端が舞った。
「やっちゃおうか?」
闇布は反転してラスになる。細すぎるすらりとした身体をしならせてラスは着地する。ウェーブのかかった黒髪が踊り、ざくりとした長いカーディガンが裏町の河風に踊る。
「所謂一つのテストというか、ゲームみたいなもんだねぇ。」
ラスは言い、真黒の拳に魂力を練り上げて集めた。川向こうに突き出す。無数の闇の鏃が飛散して対岸を襲った。一つ一つは一センチメール四方の小さな鏃だったが百万、百億の鏃が超音速で飛翔して全てを貫いていった。衝撃で爆煙が上がる。一瞬で数千の烏頭鬼が横たわり、黒い血の河が流れた。ひゃっひゃっひゃっとラスは天を向いて引き笑った。大きく息を吸う。
「さぁぁぁ。派手に行こうぜぇ。」
死臭を煙らせてラスは宣言した。




