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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第四章 戦。
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第三十四話 炎の攻防3。




 三面六臂の烏頭鬼は一つの頭と二本の腕を失っていた。しかし、それでもまだ信じられないような舞闘力を残していた。ロイは時間を正確に計る。


 (残り2分7秒。そこからの出力は40%に下がる。勝目は消える。)


 ポーは“焼き手”の準備を取りやめてロイと共闘していた。だが、三面六臂の烏頭鬼との体格差がありすぎてポーの攻撃は殆ど効いていなかった。


 (いずれ霧街の舞闘者達は倒れる。そうなれば勝目は無い。今、やるしかない。)


 ポーは何度も隙をついて巨体の烏頭鬼の裏に回り込もうとしたが、いずれも失敗に終わった。周囲には既に充分な数の烏頭鬼達が集まっていた。柔らかい大地に突進力を殺されている現状では烏頭鬼の軍勢を抜けて“闇穴”に達することは出来ない。


 「ロイ!勝負に出よう。この化け物毎“闇穴”を焼き尽くす。」


 ポーは再び胸の前で指を組み、祈るように瞳を閉じた。ロイは振り下ろされる巨烏頭の棘付き棍棒を、黒玄翁で受け止めた。押し返して破裂する鉄拳(ドーバーガン)を打ち込む。破裂する鉄拳(ドーバーガン)は受け止めた盾ごと、三面六臂の腕を吹き飛ばした。背後ではポーが気を練り上げていた。体のあちこちにひびが入り、マグマの様に赤い内部が見える。それは血の赤ではなく、火の赤。ポーの身体が炎に包まれる。


 熾天炎化セラー!!


 ポーから湧き上がった炎はまるで天使の六翼のように広がり揺らめいた。翼はポーを包み烏頭鬼の攻撃を遠ざけた。彼の額のひびが神々しい第三の目のようにも見える。ロイは背後のポーがこれまでの数段上の舞闘力を示すのを感じた。ポーの身体からは超高熱の光が溢れ、数メートル先の烏頭鬼達に発火する。これだけの熱量があれば“闇穴”を掠めていくだけで、焼き払うことができるだろう。ポーは身を屈め蓄力する。


 (……面白い。残り一分をかけてみるか!)


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