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第二十五話 闇穴。
忍が勝利を納めた翌日、烏頭鬼の軍勢に動きはなかった。更にその翌日も。霧街は裏町に初戦についての協議を申し入れたが、回答は得られなかった。両者の亀裂は少しずつ広がりを見せてはいたが、烏頭鬼の攻撃は行われなかった。裏町の舞闘力の高さに烏頭鬼は戦意喪失しており暫くは平和な日々が続くのではないか、さらには烏頭鬼達が撤退するのではないかとの楽観が霧街に広がり始めた頃、偵察部隊が現実を持ち帰った。
「烏頭鬼の総数は10万を超えています。現在も増加中です。野営地の中央に直径100メートルの“闇穴”があり、奴らはそこから這い出しています。」
それは絶望だったが、その事実が霧街と裏町を否応無しに協力させることになった。四大極と六角金剛の両者が裏町で協議することとなった。
……その、前日。




