第二十四話 ロイの決断。
「……鍵です。」
ロイはそう言って、牢獄の前に合鍵を置いた。
「いいのか?」
牢獄の奥から、拘束されたラスの声が返る。ロイは答えない。勿論、彼は霧街の重要な役職に居ながら過ちを犯したことを理解していた。だが、我慢が出来なかった。無実のラスが投獄されるなんて。ロイはこの半年の間、誰よりも長い時間をラスと供に過ごして来た。今、ロイが一番信頼しているモルフだ。例え、いつかは旅立つ歩む者であるとしても。ロイは後悔していなかった。なぜならセアカの正体を知る仲間であり、唯一の協力者だからだ。六角金剛はこの件について力にならない。父の一文字でさえ、取り合ってくれない。そして、ハクは治療施設でクウと合った日以来、塞ぎ込んでロイと会ってはくれなかった。誰も助けにはならず、自分でやり遂げるしかなかった。だが、自分だけで調査するのにも限界があった。ロイには、協力者が必要だった。一刻も早く。だから、六角金剛の指示に逆らい、ラスを逃がすことにしたのだ。
「烏頭鬼は裏町に撃退されて、足踏みしています。首切りも動きを見せていない。今しか無いんです。俺に力を貸してくれませんか。どうしてもセアカと決着をつけたいんです。」
ラスは素直なロイがかわいくて仕方が無かった。げらげらげらと下品に笑った。
「いいねぇ。俺たちでやろうぜぇ。セアカにも霧街にも烏頭鬼にも、泡ァ、吹かせてやろうぜぇ。」
再び、霧街で一番深い牢獄の底に下品な笑い声が響き渡った。




