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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第四章 戦。
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第二十二話 区切り。




 ウカミ達は油を撒き、松明をかざして、烏頭鬼の死体に火を放った。やっかいな外衣も不快な遺体も、もうもうと黒煙を上げて消えていく。夕闇が迫る東の街道は立ち上る黒煙の為に、深夜の暗がりに包まれたようだ。その黒煙を背後に黒檀は黒壁の上に、立て膝で座る。手には烏頭鬼の外衣が握られている。どうでも良さそうに問う。


 「で?今更なんだ。」


 黒化カーバンした黒檀が見下ろすのは四牙のサカゲだ。サカゲは半獣化の状態だ。霧街の使いとして黒檀の元に来ていた。


 「恐るべき舞闘力でしたね。特に貴方は、裏町ナカスの四大極をも超える舞闘力をお持ちのようだ。さて、先の戦いについて話が聞きたい。霧街からは、東大門前で交戦するので、敵を素通りさせるよう依頼があったと思います。それを無視した理由と、黒くなる技、超人的な持久力について説明を聞きたいのです。」


 はっ、と黒檀は短くあざ笑った。表情は崩さないが、サカゲは苛りとする。黒檀はサカゲの感情の遷移を無視して返す。


 「裏町ナカスは霧街に支配されているわけでは無い。単純に捨てられただけだ。命令される筋合いは無い。我々の舞闘力は、黒化カーバン無限舞闘ドリブンだ。そして、これ以上話すつもりも無い。判ったら帰って、一文字さんに報告しろ。裏町ナカスは霧街が知っているそれではなく、舞闘力も霧街より高いとな。」


 サカゲの魂力マイトが研ぎ澄まされ、眉間に皺が寄る。今、確かに黒檀は、“一文字さん”と呼んだ……。


 「誰だお前は。」


 黒檀は一瞬だけ、ぎくりとなったが、さすがサカゲさんは違うなと、愉快に想った。だが、ウカミの総代として隙を見せる訳には行かない。すっと立ち上がり、超硬化した筋肉を最大に引き絞り、解き放って飛び去った。サカゲには黒檀が消えた様に感じられた。黒煙は収まり始めていたが代わって夜が近づき、結局、光は乏しかった。まるで、霧街の未来の様に。

 サカゲには、まだこの戦の先は見えなかったが“烏頭鬼の戦”に一つの区切りがついたことは確かに感じられた。



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