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第九話 愛憎 3
クウはあさつゆと大喧嘩になってしまった。喧嘩と言うよりは一方的にあさつゆが怒って、クウが謝るだけだったが。病が治りきっていないのに内緒で霧街に行ったことで、あさつゆが怒っているのだ。それでもあさつゆはクウの為にご飯を作り包帯を代えてあげた。
「クウ、霧街には行かないで。霧街の空気がクウの身体に悪いの。」
あさつゆは祈るように伝える。でも、クウは度々、霧街に出て行った。その度にあさつゆは泣いて、少しずつクウは体調を崩す。あさつゆは知っていた。“ナニ”がクウに毒を与えているのか。だから、クウを霧街に行かせたく無かった。でも、クウはあさつゆの目を盗んで霧街に行く。あさつゆには止めようが無かった。ある朝、クウは血の泡を噴いて痙攣していた。あさつゆは悲鳴を上げる。
……ああ、だから言ったのに。




