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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第四章 戦。
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第六話 幼馴染。




 包帯だらけの身体にオーバーオール。首にはゴーグルが掛けられていた。何も変わらないその姿を見たハクは走り出して飛び付いた。


 「クウ!!」


 真っ白な毛皮や綺麗なグリーンのワンピースが汚れるのも構わずにハクはクウに抱きついた。ハグのように優しく、ではなく、クウの身体を取り込もうとするかのように強く抱きしめた。ハクは泣いていた。泣きながら困惑顔するクウをお風呂に引きずって行き、お湯が張られた浴槽に放り込んだ。クウが苦情を言ったが、ハクは泣くばっかりで答えない。ハクは大泣きしながらクウと同じ浴槽に入った。わんわん泣きながら、クウの肌の様子を確認し始める。前よりも状態が良い気がした。少し安心したハクはやっぱり泣いた。泣きながら、ウーと少し唸り、痂に覆われたクウの胸のイドに触れる。僅かにひび割れている。痂に裂け目があり、内部の赤い光が漏れている。そこでハクは泣き止んだ。黒い円らな瞳をまんまるにして、鼻を啜り、鼻の頭をペロリとする。ようやく、口を開いた。


 「ねぇ。痂が取れそうだよ?直ろうとしているの?クウって。」


 「それは分からないけど、とにかくよかった。ハクが泣き止んでくれて。心配かけてごめん。」


 「そうだよ。すっごく心配したんだうわわぁ……。」


 クウはハクの事をよしよししてやった。昔、よくしたように。僕たちは変わらないんだな、と感じたクウは胸の内が熱くなるのを感じた。少し前から感じていたように、少しだけ、イドの光が戻って来ているのをまた、感じた。


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