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山登りは体力勝負

山登りなんていつぶりだろう、もう疲れたよ…。

「まだ半分しか登ってないぞ。標高124mの山を5合目まで登って疲れるって、どんだけ体力無いんだよ。」

「しょうがないでしょ運動なんかロクにしてこなかったんだから。」

「少しは頑張れよ、旅に出るんだろうがよ。」

僕とこのどことなく偉そうな口調の大靖は、この国の王を倒して両親を生き返らせるという僕の目標についてきてくれて、なんだかんだ一緒に旅をすることになった。

「おい、どことなく偉そうってなんだよ。」

「ごめんって。」

はぁ、考えたことも分かるってめんどくさいな。それにしてもいったいどこに向かってるんだよ…。

「どこ向かってんのよ~も~疲れた~よ~。」

「旅の仲間を集めようとしてるんだって何回言ったら分かるんだよ。しかも考えたうえでまた言いやがって。これでまた二回増えたぞ。」

「も~数えてんじゃねぇよぉ~。はぁ、疲れた~。なんで山なのよぉ~。」

「山小屋に住んでるんだよあいつは、めんどくせぇ所に住みやがってよぉ。」

「本音漏れてるぞ~。」

「もうすぐだぞ、気合いれろ陸斗。」

「お前も~疲れてきてるよな~。」

「喋ってる暇があったら足を動かせや!もうすぐだからよぉ。」

「う~い…。」

そして僕らは歩きに歩いて、なんとかその山小屋にたどり着いた。ほんと長かった、めんどくさかった。

「で、誰が住んで…ゴホッ…るの?」

「とりあえず水飲め。ほれ。」

大靖が水を渡してくれた。そうか、水だ。僕は水を用意してなかったんだ。はぁ、なんで山に登るって言われたのに水を用意しないんだ…。

「まったくその通りだぜ。甘いんだよな考えが。」

「甘いってなんだよ?はぁ…。疲れた。」

「山に登る前に俺が水持っとけよって言ったのに、『大丈夫だってこんな低い山』とか考えて、水用意してなかったから言ってるんだろうが。」

まじか…僕そんなこと考えてたのかよ…恨む。

「後悔先に立たずってな。それよりほら、早く受け取れよ水。」

「ありがと~…、あれ、これ飲みかけだけど…。もしかして間接キス狙い?」

「ア?コロスゾ?」

「へへへ。冗談だってば。ふぅ、それにしてもやっぱ水は美味いねぇ。それで、この山小屋に誰が住んでるっての?」

「北村碧、席としては最後列の窓際だったな。」

「最後列の窓際か…本読んでそうだな。」

「最後列窓際=本読んでる奴論やめろ。まぁ確かに暗い感じの奴だったな。明るい窓際のはずなのにな。まぁそれはいいとして、固有スキルは『修理』。旅の仲間になってくれたら主に回復要員として役立つな。やっぱヒーラーは大切だろ?」

「『修理』って物を直す能力だよな。非生物対象だから僕らには能力使えないだろ?突然バカになったか?」

「まぁ、会ってみれば分かるよ。なんで俺が回復要員として役立つと思ったのかがな。」

「なんか怖いな。まぁ、そこまで言うなら行こうか。」

「そこまで言った覚えはないぞ。適当なこと言ってんじゃねぇ。」

それにしても友達の家を訪ねるのってすごい緊張するんだよな、インターホン押すのに躊躇しちゃうというか。

というかよく考えたら友達の家って初めてかも、そう考えるとめっちゃ緊張する!

「インターホンねぇから、叫んで呼ぶしかねぇぞ。」

「えっ!マジで?」

そうなると余計きついわ、友達の家の前で大声出して呼び出すとかヤバ…恥ずかし!!

「ノックすればいいだろ。」

「……天才か!?」

「常識だろ。」

ははぁ、ノックねぇ。その概念は無かったなぁ。

「コンコン!もしも~し!居留守ですか~?」

「コミュ障かお前、コンコンって口に出して言うやつ初めて見たわ。それに居留守ですか?ってなんだよ。」

「えっ!僕そんなこと言ってたの!?」

ノックとはいえ緊張しちゃったか…不覚ッ!

「不覚ッ!じゃねぇよまったくお前は…。あぁもう、俺が行くよ。」

「いやいや、今のはミスだから、、大丈夫だって。」

「いや、俺が行く。」

「いやいや僕が行くからさ。」

「いや、俺が行くね。」

「いいや僕が行くから。こんな家の前で騒いじゃ迷惑でしょ。僕が行きますよ。今すぐに。」

「いいや今のでよく分かったよお前のコミュ障ぶりが。」

「それいうならあがり症じゃない?」

「細かい奴だな。」

「私になにか用?うるさいんやけど。」

「あぁ、すまん。」

「あっ、ごめんね。」

ほら、騒ぎすぎて怒られちゃったじゃんか…。早く決めないからさ。

「早く決めないとって、お前がしつこいからだろうが。お前が行くとろくなことが起きねぇ気がするんだよ。俺が行くから。」

「いや僕が行くって。」

「あのさ、私の家の前で騒がないでくれん?うるさいんだって。」

「ごめんね。」

ほら、また怒られちゃったじゃん…。早く決めないから!

「おい、陸斗…まさかお前…。気づいてないんじゃねぇよな?」

「え?気づいてないってなんだよ。そりゃ僕は大靖みたいに人が何を思ってるのかとか、分からないけどさ。だからといってこんな騒いで迷惑だってことは分かるよ!」

「じゃあさ、分かってるんならさ。騒がないでほしいんやけど。分かってるんよね?私の家の前で騒いで迷惑になっとるって。さっきからずっとうるさいっていっとるでしょ?」

「だからごめんねって言ってるでしょ……ってどちら様で?」

「嘘だろ…。やっと気づいたのか…。。彼が北村碧だよ…。ごめんな北村…。まさかこいつが気づいてないとは思ってもいなくて…。」

僕たちの真横にさらさらとした黒髪にきれいで整った顔立ちの、そんでもって水色で統一されたかわいい服装の、小柄な女の子…に間違えちゃいそうなほどかわいらしい少年が立っていた。カンザイ弁なのがギャップ萌えだな。これが男の娘ってやつなのか。

「陸斗、それは絶対口には出すなよ。」

「なんて思ったんかそいつの顔でなんとなく分かったわ。それと碧でいいよ。」

「ごめんな碧、こいつデリカシーねぇからな。」

すいませんね、デリカシー無くて。それにしても…。言い合いに夢中で全然気づかなかった…。いつから横にいたんだ…。いつ小屋から出てきたんだ…。っていうか大靖のその口ぶりだとまさか…。

「おい大靖!お前気づいてたな!」

「当たり前だ俺のスキル舐めるなよ。でもまさかお前が気づかいてないとはつゆ知らず…。」

「ほんまそうよ、横に立ってて、しかも私…会話に割り込んだよね?そしてそれに謝っとったよね?」

ごめん…まったく気づきませんでした。

「はぁ、ほんとに気づいてなかったのかよおい…。はぁまったく…。まぁそれはいい、碧、その、頼みごとがあるんだが。いいか?」

「私に?まぁそっか、じゃないとわざわざこんなとこまで来んしな。で、その頼みごとって?」

「それがな、こいつが…、柊陸斗がな、両親をその…まぁ、ほらあれだよ、判定省のやつらにその…な?あれよ…あの…。」

嘘だろ…僕の事散々コミュ障だのなんだの言っておいて…大靖…お前…。

「自分、人と話すの苦手なん?歯切れ悪すぎん?」

ほら、碧ちゃ…碧くんも気づいちゃったよ。どうすんの大靖?

「う…うるせぇな陸斗。ちょっと黙ってろ。」

「え?リクたん何も喋って無くない?」

んんん?リクたん…?

「いや…これは俺の固有スキルで、考えてる事とかいろいろ分かるのよ。」

リク…たん……?

「へ~、そうなんや。じゃあ私が今何を考えてんのか分かる?」

リクた…ん?

「そりゃ当然分かるけど。」

リク……た…ん…?

「ふ~ん、じゃあ言ってみ?ちゃんと声に出してな。心の中で言ったとかは無しやで。」

リ…ク…た

「あぁもう、リクたんだよリクたん。こいつはあだ名付けたがるヤツなんだよ!」

いやでもリクたんって突然さぁ。

「なんよなんよ、突然。急に大声出されるとびっくりするやんか。」

「いやこいつがリクたんって呼ばれて戸惑ってるみたいでよ。」

だってあだ名呼び始めてだからさ。

「ただのあだ名よ。もしかしてあだ名呼び嫌いやった?」

いや、嫌いとかそんなんじゃないけどちょっとびっくりして

「あぁもう!ちょっと一旦ストップ!一旦ちょっとほらその。うぅッ。おえっ…。」

「えぇっ!やばっ!大靖がバグった!碧ちゃ…碧くん!その…どうしよう!」

「もう、なんなんよあんたら…。まぁいいわ、はよ家入り。」

「いいの?なんか友達の家に入るのって初めてで緊張するな…。」

「んなこと言っとる場合とちゃうでしょ。ほらはよ運び入れるで。」

僕は大靖の頭を、碧ちゃ…碧君は足を持って山小屋に運び入れた。

お邪魔します。

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