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ととは吸血鬼(バンパイヤ)  作者: 木常あめ、
1/3

ととは吸血鬼(バンパイヤ)

ウィーーーーン。


シュンシュン--------------。



満員電車に揺られながら、男は苛立ちを隠せなかった。


爪を噛み、足を小刻みに踏み鳴らす。


男が発するその音に、周囲の人が怪訝な顔で見ていることにも気づかないほど、男には余裕がなく、狼狽していた。


何故、俺があんな若造にコケにされなくてはならないのだ!


PCが使えないくらいなんなのだというのだ。


Excelだのパワポだの、なんの呪文なのか分からぬが、ブツブツと…。


我は魔王に最も近いと言われた、真祖吸血鬼のロードオブバンパイヤなるぞ。


この世界に来て150年。


こんなにも辛酸を舐めねばならぬとは…。


ついこの間まで面妖なチョンマゲ姿で闊歩していた民族のくせに…。


男は、一呼吸ついて気持ちを昂っていた気持ちを落ち着かせる。


仕方がない、全ては愛しい娘のため。


男は胸元のポケットからスマートフォンを取り出し、待ち受け画面を点灯させる。


そこには、愛らしい満面の笑みを浮かべた幼女が写し出されていた。


青白い光に照らされた男の顔がほころぶ。


「とと(父)はお仕事頑張るからね。琴たん」


こと、というのは男の娘の名である。


3歳になったばかりの愛娘が可愛くて仕方がなく、文字通り、目に入れても痛くないほどに溺愛していた。



男の名は、ロード エンデヴァンス グランディエゴ サン。


真祖と呼ばれる、ある世界を構築した原始の民であり、誉ある吸血鬼一族の王である。

千年の時を生き、魔王に最も近いとされた畏怖の対象であった。


ただし、それは元の世界での話である…。



彼は異世界から、現代日本に転生してきたのだった。


娘(3才)は、未だこの事実を知らないでいる。




そう、とと(父)は吸血鬼バンパイヤなのである。




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