1.死んだらとりあえず天界で女神さまが待っているテンプレ
本業が忙しく、遅れました。
周りは暗い。上には……光?自然とそちらへと体が動く。自分で動いているというよりもそちらに吸い寄せられる、浮かんでいくというような感覚だ。まるで水中を漂うかのような……。光に近づき手を伸ばせば光は広がり、視界が光に包まれる。
そこで俺の意識は覚醒した。目が覚めるときに水中から浮上するような感覚など創作物の中だけだと思っていたが、まさか自分で体験することになろうとは。
……ん?俺は何で考えられるんだ?俺はあのトラックとの衝突で死んだはずじゃないのか?というかここは?
…目は…開けている。と、思う。疑ってしまったのは、目を開けようと開けまいと景色が変わらなかったためである。俺の視界に映るのはどこまでも続く白、白、白。瞼の裏は外の光を受けて真っ白に輝いていた。それほどの光のはずなのに不思議と目を開けていても眩しいとは感じなかった。
「目が覚めましたか?おはようございます、天川大輝さん。」
仰向けになっている俺の頭上から声がした。
「うわぁ!?びっくりした…。」
本当にびっくりした。状況もわからないまま声なんてかけられたら怖くて仕方がない。
「あはは。いい反応ですね。」
声のした方向を見ればそこにはこの真っ白な世界にも馴染むような金色の毛に左右それぞれ違う色の目、俗に言う”オッドアイ”をした猫がいて、笑っていた。と言うか喋っていた。
「ええと、なんで俺の名前を知ってるの?それに俺って死んだんじゃないの?そもそもここどこ?ていうかまずお前は誰?って言うか何?」
いや本当に何だこれ。こんなん俺の知ってる猫と違う。
「いきなりめちゃくちゃ喋りますね。まず、あなたは確かに日本でトラックに撥ねられて亡くなりました。そこで私がここ、あなたたちの世界でいうところの天界に連れてきました。まあ私はあなたたちの世界でいうところの女神様ですよ~。大輝さんの名前を知っているのはまあ一応神様だからです。」
そういうと猫は突然金髪で右がオレンジ左は赤い目をした、人間の女性に近い姿へと変わった。その姿は美しく、”女神”というに相応しいものであった。
神様なんていきなり言われてもいくらラノベやアニメでこういうのに耐性のある俺でも普通なら信じられるわけはない。けどこの状況は普通じゃないし……。でも百歩譲っても納得いかない点が一つある。
「完全にではないけど、なんとなくは分かったよ。でもなんで俺だったんだ?他にも亡くなった人はたくさんいるだろう?まだ色々分からないうちは信用もできない。」
「それもそうですね。ではまずこの姿になったほうが分かりやすいですかね。」
そういうと女神はもう一度姿を変え、『サラ』と刻まれたハート型のプレートの付いた首輪をつけた三毛猫へと姿を変えた。それは俺が生前最後に助けた猫、幼馴染の星奈のペット、サラの姿だった。
「どうゆうことだ?”この姿”ってことはお前まさかサラなのか!?」
猫は笑って言う。
「ふふ。そうです。実は私はワケあって”サラ”として星奈を守っている女神です。大輝さんを助けたのは、助けていただいたお礼でした。猫の姿で死ねばあの世界での私の存在は消えてしまい、もうあの世界には戻れなくなってしまうので助かりました。でも、申し訳ないのですが、私でも一度存在の消えた世界に同じ存在は戻せないのです。なので大輝さんには異世界に”転移”していただきたいのです。」
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