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第一章 part 8 ルール

第一章 part8 ルール


アキがリングに向かうとすでに、リングの上で対戦相手が待ち受けていた。

大刀を肩にかけ、此方を睨み付ける青髪青目のエディだった。

アキはリングに上がると、緊張のせいか手が震えていた。緊張もあるかもしれないが、ギルドに入って初の試合だ、ギルドの皆に実力を見せつける

大きなチャンスというプレッシャーがあったのかもしれない。

震えた手で緊張を解すように頬を両手で叩き気合い入れリングに上がる。


「よぉ~~待ってたぜぇ?」


「お父さん見ててね私勝つから・・・。」


エディからの挨拶を無視し、腰にかけている剣に呟くように独り事を言いエディに鋭い眼差しを向ける。エディはリングに上がる前から獲物を狙う獣ような視線をアキから外してはいなかった。そして両者、自身の武器を引き抜く。

すると、リング外からここまで道案内をしてくれた召使いらしき男が声を上げる。


「両者揃ったところで、今回使用するルールをご紹介いたします。今回使用するのは英剣舞祭で使われるルールと同じ内容になります為説明を省かせて頂きます。」


東側のギャラリーにいる「無能」ギルドでは今回のルールについてケイがカイトに質問をしていた。


「あっあの~英剣舞祭のルールを詳しく知らないんですけど・・・」


ケイの質問にカイトが淡々と喋りはじめる。


「英剣舞祭のルールはまず、ギルドの中から予め試合が始まる直前に三人選出する。ちなみに、一試合に一度だけ状況や戦局によって選手の変更も可能だ。試合は、一対一のタイマン勝負だ。敗北した選手は退場し、そして見事勝利した選手は次の選手に交代するか、残り続け次の試合に立て続けに出る事が出来る。試合の勝負は先に三人の相手選手を倒した方の勝ちになる。そして、一番重要なのは、ここからだ。英剣舞祭の一番狂ってる変わったルールがあるんだ。」


カイトが言った変わったルールが気になり、ケイは首を傾げながらカイトに聞く。


「変わったルール?」


「あぁそうだ、さっき俺が試合の勝負は先に三人の相手選手を倒したギルドの勝ちって言ったよな?」


カイトの聞き返しにケイは疑問の眼差しを向けながら、返答する。


「そうですね。」


「じゃあ聞くが英剣舞祭の倒すってちなみにどういう意味だと思う?」


カイトが突然思いもしなかった問いを吹っ掛けてきてケイは少し動揺する。


「えっ?まぁそうですね、相手が気絶するとか、相手を戦闘不能の状態にさせるとか、リングの外に追いやるとか、ですかね・・・あっ後、降伏させるまで追い込むとか」


ケイは昔から多くの書物を読んできているため、英剣舞祭のルールは知らないが、ある程度のノウハウは持っている為すんなりと返答が出来た。


「まぁ普通はそう思うよな?けど、英剣舞祭はそれだけじゃないんだ。英剣舞祭のルールでは、相手を殺す事が許されているんだ。」


殺害は禁止というのが前提だと思っていたケイは、カイトの驚きの言葉につい声が出てしまう。


「なっ?!・・・」


驚くケイを余所に、カイトは話を続ける。


「帝国の法律では、殺人を犯す事は殺人罪として処理される。しかし、英剣舞祭で死んだ人間は、不慮の事故として片付けられるんだ。これは、俺の見解ではあるが英剣舞祭は元々帝国政府が始めたものだ、英剣舞祭を盛り上げる為だったら殺人罪まで目を瞑るだろうな。」


ケイは、カイトの話を聞いて心配の眼差しをリング上にいるアキに向ける。


「ってことは、今回の練習試合での殺人は・・・」


カイトは、黄金のように煌めく双眸を細め、険しい顔になりながらケイに続く。


「当然あり得る話だ。しかし、大体の選手は負けだと察した時は降伏宣言するものだ。英剣舞祭に出場してるやつが全員殺そうとしているわけでもないしな。しかし、最近は殺人を厭わないギルドが増えて来ている・・・今年の英剣舞祭は荒れるかもな・・・。」


そう言うと、カイトはリングを見やる。しかし、どこかケイには遠くの方を見つめている気がした。

そして、ケイもカイトからリング上にいるアキに視線を戻す。そして、目を細め独り事のように呟く。


「アキ・・・」


リング外にいる召使いらしき男が片手を上げ、試合開始を宣言する。


「それでは、試合を開始させて頂きます。」


「殺人は趣味じゃないけど、殺しても仕方ないよなぁ~?あそこまで俺達を貶したんだからな?」


決してアキへ向ける視線は外さない様子のエディがアキに、話しかけながら大刀の刀先を天井に向けるように持ち、前傾姿勢のまま腰を落とした。


「あんな軽い挑発に乗るなんて、やっぱり小さい俺達ね。」


エディの話を聞き、アキは追い討ちをかけるようさらに、ニヤケ面で嫌味をエディに叩き込む。

そのままアキは、白くライトで光輝く片手用両刃長剣を右手に持ち体側に引き寄せ、エディに向けるように長剣を垂直に構える。

アキはゆっくり目を閉じ、すぅーと息を吸い、吐き出す。


「レディー」


二人は同時に目を大きく開く。


「ゼッテェェェ殺す!!」


「やれるもんならやってみなさいよ!」


「ファイト!!!」


上げていた片手を振り下ろしたのと同時に、召使いらしき男が試合開始の合図が鳴り響いた。アキとケイがギルドに入って初の試合の火蓋が切って落とされた。



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