第一章 part4 ギルドメンバー集合
第一章 part4 ギルドメンバー集合
アキとケイがいがみ合っているそんな時、玄関の扉が開く。
「「ただいまー。」」
「採ってきたよ山菜ー・・・って君たち誰?!」
俺達が初見の彼女は、目を見開いて、ボブショートの紅く染まった髪に赤銅色の瞳は山菜を採りに行った際付着したであろう制服についている泥となんら変色ない彼女は驚いた様子で此方へ問いかけて来た。
「これから御世話になります。こっちがアキで僕がケイです。あっちなみに俺達無能です。」
「呼び捨てにして良いなんて許可してないんですけど?まぁいいわ。改めて私の名は、ハールド・フォン・アキレミス、アキと呼んで頂いても結構です。これからよろしくお願いします。」
「・・・本当に入ってくれるの?私たぢのギルドに?・・・わ、私、ざサレーネよろじぐねぇ・・・」
俺達の自己紹介が終わると彼女は、本当に、、?現実なの、、?っと呟きつつ、所々聞き取りずらかったが顔を赤らめて泣き出す寸前でもちゃんと自己紹介をしてくれた。
すると彼女の後方から透き通るような声が聞こえてくる。
「泣くな、みっともない。でも、これでやっと出られるのか・・・。あっそうだ、私の名は、バルトリエ・ウィン・アリス。気安くアリスと読んでくれ。」
サレーネの後ろで隠れていたアリスが顔を出し名を申した。右片目は菫色の髪で隠れていて、翠緑とした瞳は美しく大自然を物語るように煌めいていた。サレーネの頭をよしよしと撫でるように手をそっと置く。
その様子を見ていたガイヤが彼女たちに向けて言う。
「悪いな、女性にいつも汚れ仕事押し付けて。」
汚れ仕事は男の役目と言わんばかりに、ガイヤは謝罪をした。アリスは、優しく微笑む、しかし俺はその笑みが逞しく見えた。
「良いのよ。ていうか、押し付けてもらった覚えはないし、私たちが率先してやってる事だから謝らなくて良いのに。」
それでも、ガイヤは心配性なのかそれでもと続ける。
「でも、あの山は異能を持つ山賊が徘徊してるんだぞ?見つかったら、アリスとはいえ危険だ。」
涙を自身の腕で拭うサレーネを余所に、アリスは胸中にドンっと自分の握り拳を叩きつけ自信満々に言う。
「大丈夫よ。あんな雑魚共私達だけで問題なく闘える。」
ガイヤは、アリスの得意げな様子に安心したのか。鼻を一度鳴らした後、俺達二人とサレーネ、アキに挟まれるような形で間に入る。
「頼もしいねぇ~。・・・さて、新しいメンバーが増え、これでギルドメンバーは6人となり6年間出場出来ていなかった英剣舞祭に出場出来る最低人数まで揃った。ということでっ!これに先駆け今まで無視し続けた22区との練習試合をしに明日行くぞ!」
っと言い切った後ガイヤは手を握り拳にし、天に届かせるように腕を上げる。
「「「おおーーー!ってえぇーー?!?!」」」
アキとケイそれにさっきまで涙を拭いていたサレーネが、ガイヤの突然の22区の練習試合宣言に驚きの叫びを上げる。それもそうだ、アキとケイはギルドに入って間もないのにも関わらず明日22区の練習試合をやると言われ驚かないはずがない。
しかし、サレーネはアキやケイとは違う理由で驚愕していた。
怯えながらサレーネは口を開く。
「に、22区と言えば前回の英剣舞祭に出場した所ですよね?」
サレーネの言葉にガイヤは頷いて続ける。
「そうだ、前回だけじゃない何度も出場している強豪中の強豪だ。」
強豪と聞きサレーネは、さらに自信を無くし声が小さく弱々しくなる。
「かっ勝てるのでしょうか・・・それに私達一度・・・」
自信の無いサレーネは最後に何かを言いかけてたがアリスに遮られる。サレーネとは裏腹にアリスは眉を眉間に寄せ力のこもった声音で言う。
「当たり前じゃない。私達は少なくとも能力者共より何倍も努力してる。もう二度と負けないわ、というより負けたくない。」
アリスは言い終えるとグッと握り拳を作った。
此所のギルドの人たちは、生半可な努力はしていないとアキとケイはアリスの様子だけですぐに悟った。それだけアリスの雰囲気は心に来るものがあったのだ。
「あっあのちょっと待ってください。英剣舞祭ってどこの区も出場出来る訳ではないんですか?」
突拍子もなく、ケイが皆に向けて聞く。
「何あんた知らなかったの?英剣舞祭に出場するためには、予選を優勝して勝ち上がらないと出場は出来ないのよ。そんな事も知らずにギルドに入ったの?信じらんない。」
アキに横目で冷たい視線を向けられ、ケイは顔を赤らめ自身の後頭部を手で抑えながら口を開く。
「えっ?!そうだったの?英剣舞祭で優勝する事を目標にしていたのに、何にも知らなかったなんて恥ずかしっ!」
ケイの恥ずかしい真実を聞いたギルドメンバーは、一斉に湧く。英剣舞祭についてよく知らないケイに対して、アリスが付け足すように話す。
「ちなみに予選は、4つの会場で行われて対戦相手はランダムで決まるシステムでね。ようは、24区中6区しか出られないのよ。俺達のギルドは代々英剣舞祭に出場出来ていないんだ。それで、ついた名前は最弱ギルドとか無能ギルドとかね。まったく、散々だったわ。」
先ほどまで、剣の手入れしていたカイトがアキとケイに向けて言い放つ。
「君たち二人の実力見たいから、良い機会だ。予選前の前哨戦といった所か、楽しみだ。」
カイトの話を聞き疑問に思ったケイが口を開く。
「あっあのー予選っていー。」
テレサが俺の言葉を遮るように、話を始める。
「まぁまぁ明日22区に行くなら早く出た方が良いでしょうし。話の続きは明日も出来る今夜はここまでにしておきましょ。」
テレサの案にギルドメンバー全員が賛同し、自室に戻る事となった。