今日の会話〜ナイトプールへ行こう~
久しぶりに投稿しました。温かい目で読んで下さい。
焼き鳥ではタレ味と塩味、どちらが美味しいかというように、二択を巡っての主張のし合いや、ある一つの外見や使い方を題に論争するのは、恐らくどこの国でも誰でも一度は経験があり、平和の証拠ではないかと、私は思っている。
ここで、私のオススメである、とある3人の論争……いや、会話を覗いてみよう。
マジメさが取り柄のスミレ。
高身長でルックス抜群のサク。
金持ちのお嬢様であるツバキ。
今日は何を題に、盛り上がりを見せてくれるのだろうか。
「あ、水着買わなきゃ」
唐突に発せられたスミレの言葉に2人は当然、当人へと視線を向けた。
「そうね、私もまだ買ってないわ」
「着る予定があるのか?」
「ナイトプール、行くでしょ?」
当然だよね?という表情でサクを見つめ、それに合わせてツバキは頷いている。
―――ここは平日のファミレス。先日、梅雨入りが発表され、夏がもうすぐ始まる。
祭りに花火にバーベキュー、そして海やプール限定の水着。最近ではナイトプールといった大人向けのプールや施設が注目されている。
スミレとしては、今年はナイトプールへ行くのが目標である。
「なんでナイトプール?」
「ここのナイトプールの花火が話題でね。ドリンクやフードも充実してるんだって。ほら」
年々、豪華さが増していると思えるその口コミやサイトの紹介は、たしかにドリンクもフードも選り取りみどり。
カクテルやパフェなんかは、全国の居酒屋やレストランから集めたのかという程に集結されている。
「このパフェなんか美味しそうね!」
「でしょ!私はやっぱりチョコ系かなぁ」
「…こんなに作る必要、あるのか?」
「元も子もないこと言わないで。夢とロマンと写真映えに生きるのが女でしょ」
最後のは個人によると思うが…今は黙っておこうと思ったサクである。
ナイトプールとはその名の通り、夜に営業しているプールのことである。
写真を煌びやかに見せ、SNS投稿を目的とした女性には大人気。
浮き輪の紹介の欄には、虹と雲の物や貝殻の中に真珠のある形の物…言葉で説明するには少し難しいので省略させてもらう。とにかく想像と可愛いを超えた次元であるのだ。
「いつ行く?」
「私は有給消化をしないといけないから、連休取れるわよ」
「私も。サクは?」
「俺も行くのか?」
「当たり前じゃん。こんな所に女2人で行ったら、彼氏イナイと思われる」
「真面目なくせに気にするのな」
サクとしては、こういうキラキラな、いかにも女性しか居なさそうな場所に行くのは、少し抵抗があると考えている。
「極度の潔癖症のくせにプールには入れる人に言われたくない」
「最近のプールは常に洗浄されてるんだよ。だいたい、水着を着るなら海でも」
「行こーよー」
「聞けよ」
「3人で行くからこそ、楽しいから意味があるんじゃん」
そう言われてしまうと何も言えなくなってしまう。
「…分かったよ。俺は7月下旬なら都合がつく」
「オッケー。プールに行く前に水着を買いたいから…都心に専門店があるんだよ、ほら」
そう言ってまたサイトを開いて見せる。
まるで前から行くことが決まっていたかのような準備の良さである。
「流行も抑えたいけど、やっぱり可愛いのが良いわね」
「最新のやつも取り扱ってるから…迷うね」
「俺はプール現地集合で良いよな?昼ぐらいまでは仕事したいんだが」
「なに言ってるの?水着選んでよ」
「なんでだよ」
再び、当然だよね?という表情のスミレ。これにはツバキも疑問をぶつけた。
「どうして?お互いに選び合いましょうよ」
「それも楽しそーだけどさ。やっぱり男目線から選んだ方が男ウケは良いと思うんだ?」
「なるほどねっ!」
「なるほど、じゃねーんだよ。自分たちで選べ」
だいたい、そんな所に来る男は女を連れているだろう。とでも言ったら、スミレにまた夢がない、とでも言われるだろうな。サクはツッコミをいれる気力も無く、呆れて喉が乾く。
水を啜るサクを他所に、女子2人は勝手に話しを進めている。
「サクに選んでもらえるなら、お昼ご飯は一緒に食べたいわね」
「それから水着を買って、ホテルに先にチェックインしちゃう?」
「そうね、余計な荷物は置いて行きましょ」
「ホテルは近場で安い所が良いよね?そしたらココとか?」
「ココも良さそうよ?個室露天風呂付き」
「最高じゃん!そこにしよう」
スマホで画像やサイトを漁っていると思えば、ホテルの予約までし始める始末。…独りで個室の露天風呂かよ…楽しみなような物足りないような。口に出すのはやめたサクであった。
みなさんの夏の予定はありますか?
夏はあっという間ですからね。充実した時間を過ごしたいものです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。感想などコメントいただければ幸いです。