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断られました

「オレ、パス。その日別の大陸いるから」

「やっぱり売れっ子って忙しいんだね」

「売れっ子って…いいけど」


マリエラに遊びにいく計画、そういえば九条くんに言ってなかったなって思って誘ってみたけど、断られちゃった。ここ最近すれ違ってばっかりなんだけど、それは依頼がたくさん来てるからなんだってさ。九条くんは流石にカンストチートってこともあって依頼自体は速攻で片づけられるんだけど、行きの時間がかかっちゃうんだそうな。適当に話を聞いてきた魔王様が、それに不思議そうな顔をして首を傾げた。


「転移使えばいいのに、わざわざ船使うのか?」

「誰も彼もお前みたいにホイホイ転移魔法使わない。入国審査とか色々あるの、知らないわけ?」

「あー、関所。完全に忘れてたわ」

「…あ、あの、魔王様。私不法入国者として裁かれたりします?」

「ないない。密入国なんて探せばごまんといるんだし、関所も余程の相手じゃなきゃ気なんて張らねぇよ」

「そこの小僧はそれなりの人間、ということだろう」

「…ふん」


密入国というか、私達の場合密入世界者なわけだけど、とりあえず安心。ちなみに九条くんは素性が全くわかってなかったけど、この逸材を逃すわけにはいかないってギルド加入の申請が通ったらしい、それもどうなんだろうね。周辺調査はした方がいい気が、いや、出てくるものもないからいいのか。


不法入国は探せばそれなりにいるらしいけど設備が行き届いてる場所なら船が乗客数をチェックしてつまみだしてるみたいだから、そこまでちゃんとしてない古めのところとかちょっと遅れてる地域で横行してるんだね。うーん、システム導入もお金かかるし入国の時に払ってもらうお金の割に合うかっていうと微妙かもしれない。ここもまた世知辛いなぁ。


「でも九条くんもいつか一緒に遊ぼうね」

「…田中サン、あんたさ、何言ってるか分かってる?」

「え?」

「俺と、その魔王と、男女。目立つにもほどがあるでしょ」

「あっ…」


いかん、麻痺してた。九条くんに呆れた顔で指差された先にいるのは美形とド美形の2人。九条くんもそこそこかっこいい…あ、うん、麻痺。かっこいい、わけですからそりゃ目を引くよね。で、みんな強いからね。


「舐めたこと言ってんな、そんくらい魔法でちょちょいだぞ」

「また大量失神事件起こす気か」

「いやいや、認識阻害の魔法で気にならないようにしてな」

「アルカディアでもそうしとけよ!」

「あっはは、私怨が出ちゃったんだよなぁ」

「稚拙な。もう少し度量がある行動はできないのか」

「お前めんどくさいな、これって可愛気のうちに入らないのか?」

「それとこれとは別物だ」

「そうやって難しいこと言う…」


魔王様って本当悪びれないな、命に関わらなかったらセーフとか思ってない?思ってそう。九条くんの睨みにも、サリバンさんの冷たい眼差しにも平然としてるんだもん。サリバンさんは付き合いも長いからもう効果ないのかな、それは普通に困る。

九条くんが重過ぎる溜息をついて、雑に前髪をかきあげる。顔にはしっかりもう知らんって書いてある。


「…それで?まさか祭りに行くだけなんてことないよな」

「うん?あー、まぁロクサーナには会いにいくけど、基本祭りに行くだけだぞ」

「…は?存在だけで災害レベルなのに、何考えてんの」

「え?言葉キツくね?」

「妥当だ」

「妥当ですね」

「なんで?周りもキツイ」


キツくはないでしょう、何故なら事実だから。人格がある爆弾みたいなものですもんね。サリバンさんと一緒に頷いてると、九条くんが半目でこっちを見てた。え、変な事言ったかな。魔王様にその顔されるならわかるんだけど、失礼ではあるしね


「止めろよ、その為の田中サンでしょ」

「荷が急に重い…なんで私?」

「オレの話が通じる」

「あ、はい」


サリバンさんも話通じるけどなぁ。ま、お互い人間同士で、同郷みたいなとこあるしそういうことかな。その信頼はありがたいですけど、こればかりは私に解決とか出来ないんだなぁ。半笑いで私は首を振った。


「九条くん。もはや私はこういうのが魔王様の味なんだなって思い始めているんだよ…」

「諦めんなよ」

「ハナコ、俺は悲しいぞ」

「えぇ、サリバンさんまで言います?」


魔王様の情緒教育ってサリバンさん担当ではなかったのかな。私に出来ることって人間視点からツッコミ入れることくらいしかないし、魔王様がへこたれる時なんて黒歴史突いた時くらいなわけで、こういう自然な時にまろびでる認識については対処しきれないんなけど。溜息をつく仕草すら綺麗なサリバンさんからちょっと目を逸らして腕を組む。


「でもなぁ…私もマリエラは行きたいし、転移は助かるから何も言えないっていうか…魔王様のアレなところならいくらでも文句言えるんだけど…」

「ハナコは俺の味方?敵?どっち?」

「…えー、居候です」

「え?う、うん。うん…?」


私も私で自分勝手なんだよね、恥ずかしいことに。マリエラのお偉いさん的にはもうホラーより怖い魔王様の来訪なのはわかるけど、あそこの国色んなものがあるしそこに行く機会はあんまり逃したくないと言うか。うぅ、九条くんのジト目が痛い。

でも、なんていうか、魔王様が外に出たいっていうのはあんまり止めたくないんだよね。制約ってやつもそんなに守ってる感じしないけど、きっとこの人理由がないと遊べない人だし、それなら甘く見てもいいかななんて思っちゃったりなんかして。


そっと九条くんに向けて両手を合わせて小さくごめんを言うと、呆れた顔で肩をすくめられてしまった。それから九条くんはちょっと言いにくそうに、目を逸らしながらもごもご口を動かした。


「…まぁ、その、暇な日に誘われたら行っても、いいけど…」

「来なくてもいいぞ、お前がいると邪魔くさくて堪らない」

「は?」

「もー、サリバンさん!」

「冗談だ、9割ほどしか思っていない」

「それ本音だろ」


思春期だなぁっていう素直じゃなさにちょっと和みかけたんだけどサリバンさんはお気に召さなかったようで。九条くんからつんと顔を逸らしたサリバンさんは澄まし顔だ。うーん、気に入らないって話だけど軽口言えるくらいならもうちょっと仲良くなれると思うのに。まぁ、ケンカしなければいいか。

2人を眺めながら無責任な私が思うのは、結局行くのをやめようとは思わないマリエラのことなのでした。

来夢は完全な魔王城の住人じゃないので、いつも同行はできなかったりします。あんまり大人数で会話させられない作者の力不足でもあります。

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