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レベルが上がりませんでした

「あのー経験値ってどういう扱いなんですか?」

「あぁー、そういやハナコレベル1だもんな。そろそろ2になってもいいと思うけど伸びが悪いのか?」


一言二言が余計なんだよなぁ、別にいいけどさ。悲しいことに事実でしかないからね。こっちにきてだいぶ経つけどレベル上がった感じもしなければ特別何か出来ることが見つかったわけでもなく、焦ることも出来ないくらい悲しい気持ちでいる私です。たまにステータス開いても1のままだから辛さが凄い、なんていうか次のレベルにこれやればいいですよとか書いてもらえないかな、ゲームじゃないから無理かな。

魔王様は残り少しの本を閉じて机に置いた、何だかんだこの人の説明って分かりやすいし面倒くさがったりもしないから、つい色々聞いちゃうんだよね。


「経験値ってのはまぁ言葉通りだな、経験が力になるって話。老いによる劣化はカバーできないけど、磨いた技能、技巧が体に馴染むっていうか…分かりやすい話、走り込みして体力ついた、みたいなやつだ」

「え、そんな感じでいいんですか!?私結構バイト頑張ってるのにレベル1ですけど!?」

「んー、まぁルーチンワークってどうしても経験より作業になっていくからな、経験値としてはちまちましいものだ」

「そんなぁ」


悲しい事実、普通の生活してたらレベルは上がらないって理屈分からなくはないけど普通の生活だって普通の生活なりに色々頑張ってることとかあるんだけど。あからさまにがっかりすると魔王様から人間でレベルが低いのはそこまで珍しくないってフォロー入れられたけど、私のステータスがびっくりするくらい低値なのは初日で分かってるんですからね。いや、慰めてもらったのは嬉しいんだけど、なんか複雑だな。


「スキルってのもそう、最低でも人並み以上にならないとスキルとして習得できないし、出来たとしても適正がなかったらランクは上がっていかないぞ」

「日常動作だとダメとか、世知辛いです」

「あー…こっちの世界なら合う合わないに関わらず親からもらったり出来るからな、その点お前は引き継ぎスキル持てないから多少同情する」

「またそーやって…」


つまり人並みはスキルとして習得できないってわけで、特別才能とかもなく、普通の生活してる私からしたら夢のまた夢ってやつ。切ないなぁ、九条くんって正反対がいるから尚更だよ。


スキルの継承について、これはよくある職人の親に似てあれがうまいとかそういう話に近いみたい。でもほら、言い方悪いけど二世ってパッとしないことの方が多いよね、それはスキルが本人と噛み合ってないからうまく使えていないってことなんだそう。それに親っていうのは元からの適性と磨いた才能があるから素晴らしい技能を発揮できるわけだけど、子供には初期ランクのモノが受け継がれるから才能が運良くあったとしても修行しないといけないんだってさ。


ちなみに魔王様の引き継ぎスキルはちょっと特殊で技能じゃなくて魔眼が受け継がれたらしい。なんでも神様の持ってる才能とか技巧が半分は人間の魔王様に行くのはかなりの問題があるそうで。

でも実際魔眼もとんでもないよね、身体的特徴が遺伝するのも相当ヤバくない?意外と倫理観がある人だから滅多に他人の心覗いたり持ち物を透視したりしてはないらしいけど、もしこの人がスケベで陰湿な性格だったらどうなっていたことか…あ。スケベだったらその前にサリィさんに骨抜きにされてるか、うん。


勝手な想像を続ける私に魔王様の顔が曇る、考えてることがことだったから心読まれたのかなと思ったけどどうやら私がナチュラル上から目線に呆れたのが許せなかったご様子。


「む、言っとくがな!俺はお前が思うより頑張ってるんだぞ!」

「えー…例えば」

「外の森直したの俺」

「えぇ!?生えてきたんじゃないんですか!?」

「え、お前、自然をなんだと…?」

「ま、魔王様の森なので…」


あの騒動が終わって気がついたら禿山同然だった森が直ってたんだ、ちょっとびっくりしたけど魔王様のお城の近くに生えてる木だからそういうこともあるよねって流してたんだよね。まさか直していたとは、っていうか直せるのか、焼け野原って。

なんでも、根っこの部分はギリギリ無事だったらしくそこに魔王様が調合した薬と魔法でいつもの高い木に戻してあげたんだとか、そこはいつもの血でブシャアとやるんじゃないんだって思ったんだけど生きてるものに下手に神の血を与えると後が大変なんだってさ。


魔王様は基本的に面倒ごとが嫌いだから解決できるならさくっと血を使って解決するけど、実際魔法を属性合わせて使えるようにしたりとか、どんな武器でも扱えるようにって一通り触って全部を達人並みにしたらしい。

元から万能な人だからスキルの習得自体はなんでもあっさり出来たみたいだけど、劣、並、優、と続いて最高位の極までにスキルを磨いて結局マスタリーっていう統合化したかなり凄いスキルに成長させたんだとか。九条くんはこっち来て最初からマスタリーの極だったみたいなんだけど、魔王様は意外にも全部自力で手にしたんだって。


やれることは楽してやる、出来なくて向いてることならちゃんと突き詰めるまでやりきる。どうやらそういうスタンスらしい。なんていうか、思ってたわけじゃないけど与えられたものに胡座をかいて済ます人じゃないんだなって知ってちょっと嬉しい。


「魔王様って…努力する人だったんですね…」

「お前は本当、俺の認知が歪んでるよな」

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