勉強しました
お父さん、お母さん、先立つ不孝をお許しください、それでも私は幸せです。現実では死んだけど、何故か異世界で生きています。
どうもこんにちは、花子です。こっちにきて5日。御伽噺にあるような城にしては小さいけど、2人、いや3人で暮らすにはデカすぎる城の構造を漸く覚えてきました。使っていない所の方が多いけど大まかな場所は以下の通り。
まず私が初めて来た謁見の間、玉座とそこに至るまでのカーペット以外特にものはないんだけどお城で一番広い。魔王様がいる時間も一番長い。何をしているのかって聞いたらぼーっとしてるって返ってきたから、多分王がいるべき所として仕方なしに使ってるんだろうと思う。
次に魔王様の部屋、サリィさんとサリバンさんの部屋、そして私の部屋。意外にも全員部屋の大きさは同じだったんだよね、主人の部屋が豪華じゃなくていいのかって聞いてみたけど謁見の間とかその他にも使ってる部屋があるから寝る所くらいは普通でも全然良いんだって。
あとは厨房、なんとなく予感してたんだけど料理は魔王様のお手製だった。なんか負けた気がするので一度は自分で作ってみたんだけど電子レンジにオーブン、あとは調味料などなどに甘やかされた私には異世界の料理はハードルの高い作業でありまして…うん、結果は聞かないでください。ベーコンエッグとサラダ美味しいなぁ。
そして談話室、3人が集まるときは大体ここにいる。談話室って言ってもかなり豪華でこの人数ならその半分でも余裕があるくらい。暖炉なんてものがあったから年甲斐もなくはしゃいでしまったのは内緒です。
さて、穏やかな昼下がり、私は談話室で眠そうな魔王様にお願いをする為に綺麗な礼を披露していたのです。
「お願いします!!畑作らせてください!!」
「却下」
「な、なぜ…!?」
「バッカ、ここ魔王城だぞ。庭でカロットとかチーシャとか作ってる魔王ってどうよ」
「作るの私ですけど?」
「場所を提供するのは俺ですけど?」
「貰ってくるのは俺」
二段コンボで私の切実な願いは沈められてしまいました。因みにカロットは元の世界でいう人参で、チーシャはレタスってところ。名前でなんとなく連想できるのは嬉しい事だね。
畑が欲しかったのは農業に憧れていたとかじゃなくて純粋な食糧確保のため。だって何気なく食事の席で食材について聞いたら、サリィさんがふらっと市場に現れて嵐のような貢ぎ攻撃を受けた結果の産物だって言うんだもん。たしかに美人におまけしてあげたくなる気持ちはわかるよ!でもそれ市場でやったら犯罪じゃないかな!?経済に大打撃与えかねないよ!そう言ってみたらサリィさんからやたら生温い笑顔と共に、お城にはめちゃくちゃ高いお金しかなくて逆にご飯みたいな安いものが買えないんだってことを教えてもらった。そんなことある?そりゃゲームのラスダンで宝箱から1Gしか出てこなかったらイラっとするけどそこは現実と分けて考えてほしい。無茶を言ってる自覚はあります。
その時、魔王様は悲しそうに「大は小を兼ねないな…」とかしょうもないことを呟いていたけど恩恵を受けてるこっちとしては真面目に胃が痛みすぎるのです。なので食い下がります。
「くっ…どうせ野菜嫌いなんでしょう!ダメですよ野菜食べないと!」
「おい!幼児扱いすんな!」
「じゃあなんでですか!」
「さっき言った通り景観、花ならいいけど野菜は著しく見た目を損なうからダメ、絶対却下」
この魔王城外から見ると廃城みたいな見た目してるんだよね。人を寄りつかなくするためらしいんだけど、確かに怪しげな薔薇とか咲いてた方が似合うかもしれない。…ではなく。納得しかけた頭を振って一歩魔王様ににじり寄った。
「裏に作ります」
「ダメ」
「な……中庭!」
「う〜〜ん、ダメ」
「いいじゃないですか中庭なら!緊急の非常食って感じで!」
「俺基本飯食わないから」
「えっ」
そういえば、ご飯食べるときに私のしか用意されなかったから一緒に食べないのかって聞いたときに不思議そうな顔してたんだよね。あ、別に1人のご飯が不味いとか感傷的なことを言うつもりはないの、私東京に来てからは一人暮らしだったからね。でも1DKで1人ご飯とめっちゃ広い部屋で1人ご飯って気持ちの質が違うわけ。だから無理やり一緒に食べてもらうことにしたんだけど…あの不思議そうな顔、貴族にありそうな下の者と食事などっていうことかと思ってたんだけどもしかして、食べる習慣がなかったから不思議そうにしてたのかな?
恐る恐る少し遠くのソファに腰掛けているサリバンさんを見る。魔王様の顔には慣れても兵器並みの顔の良さを持つサリバンさんとはまだ距離を詰められていない。たまに寂しそうな顔をするのでどうにかしたい。
「…サリバンさんは?」
「ヒトの性欲を食べてる、あとたまに牛乳」
…。
…………んー。
ど、どういう反応すればいいのかなこれ…こちとら女子です。イケメンが真顔で言わないでほしい。いやサリィさんならいいってわけじゃなくて。
魔王様は何なら寝なくても死なないらしいけど、夜まで起きてても何もする事ないから寝て時間を潰してるだけなんだとか。夢魔はむしろ夜が本番で…いや、それは当たり前か。そういえば昼間は見かける機会が少ない気がする。お城が広いから気にしてなかったけど違うんだなぁ、生活サイクル。というか。
「わ…忘れてた…人外ということを……」
「そもそもお前の食い物を育てるって言っても育つまでだいぶかかると思うぞー」
「うっうう…出来る事がない…」
いくら身体が人間に見えるって言っても別の生き物なんだよね。知らなかったとはいえ人間の生活を勝手に押し付けて申し訳ない。この人達にとって食事は嗜好品みたいな扱いなんだろうな、でも1人で食べるのはやっぱり悲しいので今度からは横で2人で話でもしていてもらおう。
わがままに思う?私も思ってる、大丈夫です。でもこの2人本当に何もしてないんだもん。
この間、謁見の間に入ったら魔王様の膝にサリィさんが座っていてやばい!と思ったのですけど、そういう事じゃなかったんだよ。じゃあどういう事だったかっていうと、暇だからしりとりしてたんだって。そんな雑な嘘付かなくてもって思ったけど事実だったから目眩がしたよね。しりとり、膝に座るって必要あるかな。プレッシャー与えるとかそういうやつかな。
あーいけない。現実逃避してしまった。
言われた通り土地を与えてくれるのは魔王様で、タネを貰うためには種屋さんを荒らす必要があるわけで、しかも野菜はすぐには育たない。罪悪感と何もしていない焦りを紛らわす為に提案した事だったけど強行したところで借金が増えるだけだ。つらい。元の世界で働いてた時は常に働きたくないって言ってたけど、いざ働かないとなると漠然とした不安に押しつぶされそうになる。働きたくないって「働いている」って免罪符があるから出る言葉なんだな。エリートにもぐーたらにもなりきれない小心者の私は頭を抱えるしかない。情けない私を魔王様は面倒そうに見ていたけどやがて諦めたようにため息をついた。
「サリバン」
「今の備蓄なら最低でも一週間保つ。日持ちもする」
「じゃあ一週間でねじ込めばいいな」
「え?」
「はい、読んで?」
「ここ、は、ス…ストバイト大陸の、北に隔離された、魔王城です…?」
「よくできました!古代語は無理でも共用語なら問題なさそうね」
「単純な書きも問題なしだな。へぇ、26歳?」
「そのへぇ、はなんのへぇなんです?」
「想像よりいってたってこと。お前の種は若く見えるんだろうな、たぶん」
現在談話室は私の為の教室と化していた。サリィさんは綺麗な髪を一つにまとめて地味なワンピースを着ている、なんだか女教師っぽい。空中にはウインドウみたいなものが浮かんでいてそこにはこの世界についての常識がこの世界の言葉で簡単に表示されていた。さっきは3種類くらいの別の言語が出ていたんだけど、どうやら古代語だったらしい。読めなかったから一安心。近くの机にはペーパーウェイトみたいな綺麗な水晶が置かれていてウインドウはそこから出力されているみたいだった。プロジェクターって感じ。サリィさんの隣に座る魔王様の手の中にはタブレットのようなものがあってさっき私が書いた簡単な自己紹介を採点している。
驚いたのは日本語がかけなくなっていた事、その代わりに見たこともない文字がスラスラ書けた事。適応ってやつかな、長く一緒にいた日本語を失った感じでかなり寂しいけど知識に残っているから諦めよう。なんかの拍子で戻ることもあるかもしれないし。
因みにペーパーウェイトっぽいものと、タブレットぽいものは両方マジックアイテムってやつらしくて魔法が使えない人間にも使えるお助けアイテムなんだって。便利。でも絶対高いよねこれ、紙とか黒板とかで良かったよね。あ、安すぎて買えなかった?蔵にあるやつを使った方が早い?なるほどー。紙って中世だと貴重品のイメージなんだけどなー。まぁいいか。価値観の違いだけで疲労するから考えないことにしよう。
サリィさんが言うには魔王様はもう少し世界に馴染むようになってから勉強を始めるつもりだったとか。何かしないと、でいっぱいになってる状態でものを教えてもうまくいきそうもないからと。
…すみません、思いやりを無駄にした形になりますが何もしない、でもっといっぱいいっぱいになる私もいるのです。はい。
「やらせといてアレだが読み書きはさほど大切じゃない、この世界の識字率は5割を切ってるからな。問題は知識だ、お前の世界では前情報なしで他国にいくか?」
「いえ、いかないです…ていうかそんなに文字って馴染みのないものなんですか?」
「教育が普及してないんだ、悩ましいよな。環境整備って大変だから」
識字率がほぼ100%だった日本からは考えられない。10人いたら4人くらいしか読み書きが出来ないってことだよね。いくら異世界でもそれで生活ができるっていうのが信じられない。契約書とかでいいように騙されちゃうじゃ…あ、サイン出来ないんだっけ。それにしても悲しい話だ。階級が上の方の人しか出来ないなんてもったいない。
「その代わり文字が読める、書ける!ってなったら結構どこでも重宝されるぞ。やったな」
「あ…!いえ、でも………それは、違うんじゃないでしょうか」
「あらどうして?」
「…だってこれは私が自力で獲得したわけじゃありません、こっちに来た時に付けてもらえたものです。それを我が物顔で振りかざすのってダサくないですか?」
識字率に愕然とするのも、教育がなっていないことに呆れるのも自分が何もしなくても恵まれた場所にいた人間の傲慢だ。おまけに私は余所者でその態勢に文句を言う権利だってない。読み書きが出来ないのだって所謂発展途上国みたいに労働で学ぶ暇がないってことなのかもしれないし、教師を集められないとか、お金がないとか色んな事情があるはずだ。例えばお節介で私がここの子供達に教えて見たとしても文法も、文字一つの意味さえも満足に伝えられないのかもしれない。顔を伏せる私にサリィさんは苦笑した。
「真面目ね、獲得したものが自分のものじゃなかったら使っちゃいけないの?」
「そうは言いませんけど…大々的に使うのってどうかなって」
使えるものは使いたいけど、それを振りかざしたくはない。誇れるようなものじゃないんだから。
「はぁ…支出管理とか手伝えたかもしれないけど絶対帳簿とか作ってない…」
「お、計算もできるのか。向こうは恵まれてるんだな」
「ここじゃ役立ってないですけどね…」
「そうだな、田舎だと導入されてないけど即座に計算するマジックアイテムはあるし」
ん?計算するアイテム?項垂れていた頭を勢いよくあげて魔王様の方を向く
「ここ電卓あるんですか!?」
「ん、そっちはそういう名前なのか?数字を入力したら答え出すやつだぞ」
「電卓ですね!嘘ぉ、異世界結構進んでる!」
ていうかマジックアイテムいっぱいある!計算ができない人向けなのかもしれないけど逆に甘えてもっとできなくなるんじゃないかとか不安になる。帳簿という言葉に反応したのかサリィさんは持っていた教鞭を下ろして雑談モードに入った。
「ハナコはどこで働きたいとかあるの?」
「特には…この世界の人がどんな暮らしをしてるかわかってないですから。でも飲食店がいいかなって思ってます、もしかしたら残りを貰えるかもしれませんし」
「なるほど、妥当な判断ね」
もっとも新入りにはくれないかもしれないけど、食事中のお客様に雑談とかで近況を教えてもらえる可能性もある。サリィさんが指を鳴らすとウインドウが地図に変わり教鞭で一つの集落を指し示した。魔王城からちょっと離れたところだ。
「働くならカロン村がいいと思うわ。近いし」
「え、いや城方面から来た私のこと絶対怖がるじゃないですか!」
「転移具やるから安心しろ、それに俺はあんま恐れられてない」
「えー魔王なのに…?」
「…お前の想像する魔王ってどんなんなんだ」
ジト目でこっちを睨んできた。うわ、ちょっと拗ねてる。でも元の世界で魔王っていったら悪逆非道の限りを尽くすラスボスの代名詞だったんだから私は悪くない。主人公が勇者なのがいけない。ついでに本人がだいぶフランクなのもいけない。
「一般にはお姫様攫ったり世界征服目指したり神を目指したりして勇者にボコボコにされる人ですかね」
「…………そ、そっか」
「あとグワハハハとか言う…」
「その笑い方は無理がないか?」
なんか一瞬気まずそうな顔してだけど立ち直りというかツッコミが早かったので気にしないことにする。でも魔王ってよく高笑いとかするよね。私達のやりとりを面白そうに見ていたサリィさんはいたずらっぽく笑って魔王様の頭を小突いた。
「実物はこうだけど、隔離されてるのはそれなりの理由があるのよ?」
「ふーん…」
「あら、聞かないの?」
「知ったからには死んでもらおう!とか言われそうで怖いなって」
「しないから。なんでお前のイメージする魔王やたら物騒なんだ」
「だって魔の王ですよ!悪っぽいじゃないですか」
「ですって」
ウインクされた魔王様は露骨に顔を背けた。実物は威厳とかないけど優しいいい人なんだからあんまり悪いイメージを持たれるのは心外だろうな、ついギャップで驚いちゃうけどなるべく控えるようにしよう。
「ただ、魔王城に住んでるってことは公言しないほうがいいわね、頭がおかしいと思われるから」
「あ、当たり前ですよ!」
なんでも魔王って存在はこっちでいうお伽話らしい。たまに子供が肝試しで城を見に来るんだとか、まぁ廃城だしムードはあるよね。もちろん結界が張ってあるから中にまでは侵入できないんだけど魔王様からは外が丸見えなので気が向いた時にイグニス・ファトゥス、つまり火の玉を出してあげるんだって。親切心のつもりかもしれないけどあの外観でそんなことされたら子供泣くんじゃないか?
…あれ、おかしい。お伽話?魔王だから多分結構長生きなんだろうけど幾つなんだろうこの人。見た目が完全に人間なんだけど、何族?
「あの、魔王様って何族なんですか?」
「え?何、俺?俺は……魔王かな?」
「悪魔族とかじゃないんですか?」
「は?」
目を丸くされて、しまったと口を抑える。またやってしまった、魔王の勝手なイメージ。魔王といえば龍、もしくは悪魔って感じだったけど悪魔がこんな優しいわけあるかい!魂抜かれるわ!慌ててぺこぺこ頭を下げる
「ごめんなさい!そうですよね!ちがいますよね!羽とかないし!」
「いやまずわからん、悪魔って何だ?」
「え!?天使とかいないんですか!?」
「天使と悪魔なぁ…どんなことするんだ?」
「えっと天使は神様のお手伝いして人間を助けたりする種族…?ですね」
「おお、立派だな、悪魔は?」
「えっと、人間の魂を貰うために人間を惑わしたり…」
「何のために?」
「え?!え、えーと…た、食べるんじゃないですか…?」
「ふーん、食用なのか。でもわざわざ人間に絡むより養殖した方が早くないか?」
「人権!!」
ビックリした、夢魔がいて悪魔がいないって思いもよらなかった。あとスムーズに人間の養殖とかいう人権団体もびっくりのアイデアを出されたことにもビックリした。ついでに羽について聞かれたから飛ぶためですよって答えたんだけど「表面積を増やしてどうするんだ、撃ち落としやすいだけだろ」とこっちのファンタジー創作への熱いdisを返された。ごめんなさい。ロマンに実用性はいらないのです。羽がなくても飛べるとか言わないでください。
「ふーむ、何となくだが天使と悪魔って対だったりするのか?」
「え、ええ、一般には」
「それ宗教的に作られたやつじゃないか?」
「そ、その辺は詳しくなくて…でも神様に逆らうとダメだぞってお話にいることが多いですね」
「あーやっぱり。じゃあこの世界にはいないな。ここの神よく働くから」
神様が働くことと天使と悪魔にどんな関係があるんだろう?質問しようとしたら咳払いが聞こえてきた。サリィさんの方を見ると小さく頬を膨らませてこっちを軽く睨んでいた。可愛い。放って置かれたので拗ねていらっしゃる。無神経にもきゅんとしてしまうのだから凄い、これで魅了殺しが効いてるのだから恐ろしい。魔王様も私も頭を下げて女神様の許しを請うことにした。
「すまん、授業だったな」
「いいわよ。でも無神論者って胡散臭いから適当に信仰は見繕っておいた方がいいわね」
「え、そんな軽くていいんですか」
「いいのいいの、信者が増えるなら誰だって喜ぶわ」
謝罪を受けたサリィさんは機嫌を直して微笑んでくれた。種族の話が出たので私が見て驚かないように軽い説明をしてくれるらしい。
この世界でヒト、と呼ばれるのは人間と獣人、エルフなどらしい。それ以外は魔性、夢魔とかはこっちなんだって。違いを聞いてみたら社会でコミュニティを作って生きているものがヒトなんだそうだ。人間が一番寿命が短くてエルフが長く、獣人はその中間。獣人というのは遥か昔に獣の神の祝福を受けた種族で結構な種類があるんだとか。有名なのは狼人族、猫人族、魚人族に兎人族。兎人ってバニーガールみたいになってるのかな?尋ねてみたら2人は顔を見合わせて曖昧に濁された。なんだろう、嫌な思い出でもあるのかな。うさぎ好きなんだけど、凶暴だったら悲しい。
「この大陸だと狼人が多いかしら。因みに犬は禁句よ、ハナコなら高確率で死ぬわ」
「これはどの種にも言えるが、許可なく耳や尻尾を触ったりするのもやめた方がいいぞ。高確率で死ぬ」
「肝に命じます」
うわ、やばい、知らなかったらモフモフ〜とかいってたかもしれない。細かくなんども頷き返した。そうだよね、人間で言ったら巨乳の人にひっつくおっさんみたいなものじゃない!?いけない。異文化セクハラしてしまうところだった。やっぱり勉強って大切だな。
そう思ったところで時計の鐘がなる。夕飯の時間だ、伺うように2人を見るとウインドウが消えて、サリィさんが小気味よく手を鳴らした。
「さて、今日はここまでにしましょうか!」
「ありがとうございました!」
言い表せない焦りは薄らいでいる。学んだのは少しだけだけど、詰め寄ってみてよかった。そんなことを思いながら明日も頑張ろうと自分に喝を入れてみたのでした。