...危機一髪?
───バタリ。
扉がゆっくりと開くに連れて、心臓の鼓動が速くなっているのが分かる。いつもなら気にしないが、こんな時は鼓動がとても大きな音に感じる。
「こんな夜中に整理って....」
「止めろ。それを言ったら余計疲れるから」
他愛ない会話をしながら出てきた男二人は、それぞれ一箱の荷物を持って遠くの部屋へと姿を消した。
(....うん。やっぱり人間ってバカだ♪)
開けたままの扉が自然に閉じて行くと、張り付いているかのように背中を壁にピッタリとくっつけて苦笑する少年が一人。
少年が先ほど信じたのは自分たち───即ち、『人間』の室内における警戒心の薄さだった。
(自分で勝手に考えておいて、あれだけど....)
───この種族は大丈夫なのだろうか。
少年は一切物音を立てずに倉庫へ侵入する。
それについて行くように扉が音を立てることなく自然に閉じる。
倉庫内を見た少年は驚愕した。
(はぁ?)
───........。
───..............。
───......これのどこを整理したって?
倉庫内には物を分けて入れた同じ大きさの箱が数十個以上あり、その殆どが棚に置かれておらず、倉庫内の床に積み重ねられていた。
───誰も居ないけど、敢えてもう一度問おう。
───これのどこを整理したって?
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