空気の読めない種族
大きな岩山を掘って作られた集落にある各部屋の中心。
そこにある、拓けた真夜中の広間に人影は一つも存在していなかった。
そして静まり返った小さな一室の中。
毛布をかけて、寝たふりをしていた少年はパチリと目を開け、そっと起き上がった。
起き上がった少年は、物音を一切立てずに扉を少しだけ開け、辺りを見渡す。
室外には誰も居ないことを確認した少年は、他の住人が起きないよう、周囲に注意を払いながらも素早く倉庫まで移動する。
倉庫の前まで来た少年は、扉の隙間から中の様子を窺う。
(まあ、普通は居なくて当然───うっそだ~....)
倉庫内では、大人二人が倉庫にある物資の整理を行っていた。
(なんでこんな時に限って人間は自主的にいい行いをするんですかね!)
───......もう少し空気を読めるようになろうよ.....。
そんなことを考えている少年の存在を知るよしもない大人達は整理を終えたのか、少年のいる扉の方向へ向かって来る。
(やばい....詰んだかも....)
周囲を見渡すが、隠れられる物影は一切無い。
────他の部屋に入るか?───いや、無人の部屋なんて倉庫以外には近くに無い!
新しい案はすぐさま否定へと辿り着き、焦った少年は慌てて頭脳をフル回転させる。
(何か、名案は.....あ、)
ここで、少年はある名案(?)を思いつく。
───そうだ、人間を信じよう。まぁ確率的に0はないだろうからね。
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