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オープニングトーク
───子供の頃、世界は単純にして明確。
最弱な自分たちが、わざわざ武力、知力、魔力や精霊力のみで戦う必要など、どこにも無く、他の力でこの世界ごと変えてしまえば良いと思っていた。
その子供は自分の意見が正しいと信じて周囲に話した。
だが、哀れにもその子供は周囲から奇異の視線を浴びて、「何も分かって無い」と影で散々に罵られて、愚かな子供は思った。
────........間違えているのかな......?
純粋無垢な子供は、大人達を見て考えた。
────......いや、間違えているのは、大人達───この世界だ.....。
怪我をした際に薬草での治療を見た、その子供はさらに思った。
───傷を治せるのは武力でも知力でも無い。
ならば、と続けて思った。
───世界を治せる力があるとしたら、それは。
────『治癒力』だ。
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