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03 チートな修行の旅

03 チートな修行の旅



 『祝福の儀式』の衝撃からいまだ覚めやらぬ翌日、育ての親の爺ちゃんから今後の教育方針の変更を言い渡された。


 爺ちゃんはドワーフ族では珍しい狩人だ。

 狩人というのは旅をしながら魔物と言われる害獣を狩りながらそれを売り、路銀にしつつ暮らしている「渡り」とも言われている。捨て子で、人族であるおれを不器用ながらも懸命に、やさしくも厳しく育ててくれた。

 この村には『祝福の儀式』があるのでちょっと長く滞在していたが、村の周りの害獣も狩りつくしたそうで、そろそろ次の場所に移る時期なんだそうだ。



 その日から、旅をしながら爺ちゃんにスパルタで仕込まれた。

 今までも狩人の生活術や計算、文字の読み書き、この世界の常識なんかは教えてもらっていたが、それに格闘術や剣術、弓射術、投石術、魔法、錬金術、鍛冶が加わった。


 まずは体内魔素の循環と体を鍛えるトレーニングをミックスして修行するんだけど、祝福の効果なのか前世と比べるとやればやるだけ身体能力が人間離れしていく。

 前世の知識や想像力もあるので、魔法の発動も難しさは感じないし、魔術の応用も簡単だし、大掛かりなものを使ってもぜんぜん疲れない。


 前世より脳みそが優秀なのか、記憶力も高いし、覚えることにあまり苦を感じない。教えられればその分だけ吸収していけるという感じ。

 めったに褒めない爺ちゃんも筋が良いって言ってくれるのがうれしくて、鍛えられれば鍛えられるだけおれも調子に乗って応えてしまい、オリジナル魔法とか便利魔道具作りまくってしまった。


 それに爺ちゃんも触発されて、自重しないで一緒にいろいろ開発していたら、旅は便利になるし、商業特許でびっくりするほど大金が定期的に入るようになった。


 このあたりで気づいたが、おれもそうだが、爺ちゃんも相当チートだったらしい。ほかの人間は魔法を使えると言っても一般人は、生活魔法と言われる簡易魔法くらい。

 メジャーな火系統魔法で言うと《ファイア》《ファイア アロー》《ファイア ボール》《ファイア ウォール》《ファイア ストーム》という順で難易度と攻撃力が高くなる。

狩人や騎士なんかの戦闘職でも、《ファイア アロー》という初級魔法が使うことが出来れば優秀と言われ、《ファイア ストーム》なんかの中級魔法を行使できれば天才って言われるレベルらしい。


 あるとき魔獣の群れに遭遇したときに、そのときの魔法の実験も兼ねて、爺ちゃんとおれで、上級魔法の《スターフレア》を打ち出して、小さな森ひとつが焼け野原になるオーバーキルもやらかした。

 ふつうなら3日くらいかけて200人くらいの軍隊で掃討するものらしい。


 もちろん、そのままだとやばいので植生魔法で森林を復元した。これまたやりすぎたみたいで、聖域化して精霊が住み着くようになってすごい感謝されたり・・・


 あとは魔道具ってのもある。

 ファンタジー世界らしく、魔石っていう素材がある。それに錬金術を使って電池や基盤の役目を果たすようにしたり、魔石を粉末か液体状にして素材と混ぜ込み媒体にして、魔法を付与することができる。

 それを応用してコンロとか冷蔵庫なんかの日用品、家電みたいなものは多く存在している。


 魔法鞄マジックバッグというファンタジー世界での王道製品もあるけど、商人なんかが使用しているのは、収納容量は学校の教室分くらいで、時間経過あるものが一般的だそうだ。素材の組み合わせ、付与魔法と生産魔法の習熟度でスペックが変わるっていうのがわかった。

 50メートルくらいの蛇みたいな見た目な大型聖獣ミズガルドの脱皮したあとの抜け殻を手に入れたので、そいつを加工したもので作ってみたところ、上位互換のマジックバッグが出来てしまった。


 こげ茶色で、ショルダーバッグ型で見た目はシンプル。時間経過が無くなり、収納容量は学校の体育館くらいだけど、ほかの下位マジックバックをその中に入れることが出来るという特性があり、組み合わせることで容量がほぼ無制限で、時間制限なしのオーバースペックになってしまった。

 危険過ぎるということで使用者権限と盗難防止、認識阻害の付与魔法をさらに追加したら爺ちゃんにやりすぎだと怒られた。解せぬ。



 街をめぐる中で、知識を得るための手段として本を集めだした。

 この世界には娯楽が少ない。前世では漫画くらいしか読まなかったけど、この世界ではそんなものがあるわけない。

 活字だらけの本が多いけど、大量生産品ではないので装丁や文字、挿絵なんかが非常に凝っていて、それだけでひとつの美術品のようだ。大きな街に寄るたびに本屋で買いあさっていたら相当な量になってしまい爺ちゃんに飽きられた。解せぬ。


 おれは爺ちゃんと大陸を横断するなかで旅の出会いと自由、異世界チートを満喫していた。


 旅をしていてわかったのは、この世界は本当にファンタジーだ。

 人種は多種多様で人族はもちろんドワーフ族、獣人族なんかは町を歩いているとたくさん歩いているし、まだ見たことは無いけどエルフ族や竜人族、巨人族なんかもいるそうだ。

 魔族、魔王と呼ばれている種族も別の大陸にいるらしいが、大陸間の交易がないのでもはや伝説の類だと思われているらしい。


 当然ファンタジー世界なので魔獣っていうのもいる。害獣というのは農作物を食べてしまう動物も含めるんだけど、その中でも魔獣というのは大きさや生態もさまざまで、普通の動物と違うのは『溜まり』と言われる森の奥や洞窟で発生する生き物のことを総称するのだそうだ。

 魔獣はその凶暴さ、危険度から見つければ討伐することが前提となっている。魔獣は神様の祝福がかかっている大きな町とか大きな街道には寄り付かないそうだけれど、まれに『溜まり』に魔物が集まり、マナがあふれ出てきてしまうことがある。

 それは『スタンピード』と呼ばれる魔物の暴走は一種の自然災害のようなものだが、『溜まり』で定期的に魔物を討伐することで防ぐことが出来るのだそうだ。

 魔物の間引きは、民間では爺ちゃんみたいな狩人が行っているし、大きな都市では貴族が持つ騎士隊が訓練も兼ねて行っているそうだ。


 魔物の心臓付近からから採れる魔石や皮、爪なんかは錬金素材として活用され防具や魔道具になるし、残りの内臓なんかも肥料になるということで、無駄が無い。

 また食材としても優秀で、塩とハーブをまぶして焼いただけの肉が滋味深くパワフルな美味しさで驚いたものだ。


 聖獣と呼ばれる生き物もいる。神様がこの世界の魔素の管理のために遣わしたと言われていて、知られているものでもドラゴン、グリフォン、ペガサスなんかがいる。

 賢獣とも言われており、畏怖と身近な信仰の対象となっているが、活動範囲が僻地に多いため、普段の生活でみることはほとんど無いそうだ。


 この世界の常識と、前世よりもハイスペックな能力に慣れるのに精一杯であっという間に4年の月日が流れ、おれは14歳になった。

本日5話投稿します。これは4話目です。

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