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続道人~タビビト~【終】

これからも、全ては二人の間…"ここから"。

それから、俺は優愛に謎の釈明をする。世良はそう言うヤツなのだと、面白半分に言っただけだからと、我ながらそれはもう必死立ったと思う。


優愛は、「本当に?」とか「ふーん」とかそっけないながらも信用をしてくれた様子だった。って彼女か!


完全に誤解を受けた彼氏が彼女を説得するそれである。


そんな話をしていると、また優愛のスマホが鳴る。今度はメールのようだった。俺は優愛になんとなく見るように促すと優愛がそれを見て、少しだけ微笑む。そして、俺に見てみてと、スマホを渡してきた。


受け取ったスマホには一枚の写真が写し出されていて


どこかのキャンプ場だろうか?上半身裸で謎のマッチョポーズを決める孝輔の背中と、満面の笑みを浮かべているリサの顔、そしてブタのスタンプで顔を隠されているが、料理をしているのは世良だろう。


差出人はリサのようだった。そして、本文には




『私の楽しいを半分あげるわ!』



と、一言だけ書かれていた。



俺は優愛にスマホを返す。すると優愛は、実話リサから励ましのメールが沢山来ていたことを話してくれた。しかし、自暴自棄からそれに返信できなかったのだと。


「それでね、昨日今まで無視してしまった事を謝ったんだ。そしたらリサちゃんね、ごめんねって言葉に対して"あなたが生きてると分かってホッとしたわ"って、ふふふ…攻めることもなく、怒ることもなく…翔馬がこっちにいるのにね。」


「ははは、本当だよ。何かあれば意地でも連絡位するわ」


「本当に! でも優しいよね、それにすごく心配かけちゃった…それで、"ありがとう"って、翔馬や親に話をしたことを伝えたら…それがきたの。」



「…そっか、まあそう言うヤツだよな。アイツは…」


「うん…あ!、このブタのスタンプ…」


「ああ、それが噂の世良だよ。リサとは…その、まあ仲が良すぎんだよな」


「え?仲良いのにブタのスタンプなの?」


「…まあ、そうだな」


「え?」


「ん?」


「仲良いんだよね?」


「そうだぞ」


「へぇ…」


そうこうしていると、電車まであまり時間のないことに気づく。


俺は切符を買い、一度優愛のもとへ戻る。



「じゃあ、またな!」


「うん、翔馬…いろいろありがとね。その…助けてくれようとしたのに…」


そこまで優愛が言って、それを遮るように俺は言う。


「おまえが生きてて、ホッとしたわ! へへへ」


「もう!」


優愛が軽く俺を叩く。咄嗟に俺は後ろを向く


「ははは! やめろって!」



「もう! もう!」


きっと、もう大丈夫だ。コレから先、沢山の物事が彼女を待ち受けるだろう。それは、怖いことかもしれないし、苦しいことかもしれない。それでも、少し恥ずかしそうにしてはしゃぐ君の笑顔をずっと、忘れずに大事にしてほしいと、俺はそう思う。


すると、俺の背中をぽこぽこと叩いて優愛が急に俺を後ろから抱きしめる。





「待ってるから」





「おう」




「また、来てくれるの…待ってるから」




「おう」



「すーっ…はあ~!」



「やめろ、なに人の背中の匂いかいでんだよ」




「この背中を見て、旅したなーって思って……大好き…」



「え…」



「この背中…」



「えぇ…」



こんかやりとりをしていると、電車の到着のアナウンスがなる。俺は、優愛の手をゆっくりとほどき、一歩前に出る。そして振り替えると――


――優愛の両手が首の後ろに回され、優愛が少し背伸びをする。



そして―――





俺の耳元で





「へへへ、チューすると思った?ざーんねん、はぐでした」



相変わらずあざとい。一瞬、ドキッとしたが、この辺はもう前回の彼氏います事件で経験をつんだので、そこまで取り乱したりはしない。今度はこちらから仕掛けることにする。



グッとこちらにだきよせ、優愛の耳元でこう言う





「恥ずかしいから1度しか言わない。よく聞いといて…」



密着した体からも優愛の鼓動が伝わる。



「俺は、優愛が好きだよ。」



「――ッ!?」



ゆっくりと体を話すと、顔を真っ赤にした優愛が口をパクパクとしていて…俺は、優愛の肩をポン、と叩くと、したり顔で




「今回は俺の勝ちな」と言ってやった。



それから、電車に乗るべく改札を抜けてホームへ、振り替えると顔が真っ赤な優愛が小さく手を降っていた。それを見届けて、俺は大きく手を降り「また来るからな!」と電車へと乗り込む。




さあ、帰ろう。――







――不意打ちだった…。


まさか、翔馬からあんな事を言われるなんて…ろくに挨拶も出来ないような状態で見送りをしてしまい、私は少し後悔をする。


だが、何よりも…鳴り止まないこのドキドキに、どう対応すれば良いのかわからなかった。


私は、電車へ向かう翔馬に「またね、」と、届きもしないくらい小さな声で呟いて軽く手をふった。



翔馬が去って、初めていろんな実感がわいてくる。



「くぅ~~っ!」



恥ずかしいやら、寂しいやらと感情が大暴れしていて…でも全然悲しいはなくて…



私は深呼吸をして、駅の外に出る。そして、延びを軽くしてから溜め息をはいた。



空をあおぎ、「またね、翔馬」と呟いた。



いつか、また近いうちに会える。だって彼は旅の途中、"続く道の人"なのだから。



「それに…


――私は空を指差す


空は繋がっているのだから!」――





―――それから、俺は電車から飛行機へと乗り換える。さて、最高にめんどくさい奴等が待っている。



大人と子供の真ん中の時間。




あっと言う間に過ぎてしまう、大切な時間。




沢山の成長が出来る、今だけの時間。



そんな時間をのせた風がまたどこかへと飛んでいく。



ちょっとしたドキドキとワクワクをのっけながら…





「あ、そう言えば…じいちゃんに電話してやるの忘れてたな…」





【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】
















次回、最終話



『日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!』



またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

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