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続道人~タビビト~①

旅は続く。風の吹くまま、気の向くままに

――服をひかれ、振り替える。すると、優愛が


「行っちゃヤダスタイル…」


「…は?」


「ふふっ」


いや、意味がわらない…なんだ行っちゃヤダ"スタイル"って、それただの行っちゃヤダじゃないのかよ! しかも、自分で言って笑っておられる…


「ふふふ、自分で言って意味わかんなかった、ははは」


「いや、ははは、なんだそれ」


一瞬流れから妙な期待をした自分をぶっ飛ばしたい。それから、玄関までいくと、麻衣子さんが出てくる。


「お帰りですか?旦那様」


「え?…いや、ははは! そんなキャラでしたっけ?」


「ふふふ! ご免なさい、優愛ちゃんの彼氏と少し仲良くしとこうと思って」


「いや、だから…そんなんじゃ…なあ?」


俺はあとをついてきて、すぐ後ろに立つ優愛に同意を求める。…ってこれ、わりと悲しい行為なんじゃ…好きな人に『俺なんて彼氏じゃないよね?』って聞いていると言うことだ。…あれ?やっぱこれ悲しくね?寂しくね?


すると、優愛は麻衣子さんに


「駅まで、送ってくるね」


と言った。ガン無視スタイル…いやまあいいけどね。


ただ、玄関を出るときに、マスクをつけるわけでもなく、パーカーはおって深くフードをかぶるわけでもない、そのままの格好で外に出た優愛を見て、俺は少しだけ安心した。


二人で駅へ向かい歩く。


「なあ、優愛」


「ん?なに?」


「変装とかしなくて大丈夫なのか?」


野暮だが、あえて触れてみる。


「…うん、だってきっと、隠れていても仕方ないもん。隠しても仕方ないし、それにチカちゃんには見つかっちゃってるしさ…、だから堂々としていようって…きっと、停滞じゃ良い方にも、悪い方にも転がらない。だから、ドーン! と、かまえてやろうと思ったんだ!」


そう言うと優愛は俺の方を向いてニッと笑う。


「そっか…、そうだな! ドーンと構えて向かい打てば良いよな!」


「そうだよ!ドーン!」



優愛が軽く俺を押す。


「おわっ!このっ!」


俺も仕返しをしようとする。


「ははは!」


優愛は駆け出す。――



どんなに強がりだろうと、それが重なれば自信へと繋がるはずだ。



二人で軽く鬼ごっこをして、息をあげる。


駅について、電車まで時間があるので、ここに来たときに腰かけた始まりのベンチに二人でならんで腰を下ろす。すると、すぐに優愛が立ち上がり隣の自販機で飲み物をかって渡してくれる。



「はい、これは君の分」


「お、サンキュー! 今度俺もなんか奢るわ」


「いや、いいよ。お礼だし」


そして、二人で景色を眺める。暫しの沈黙。


「ねぇ…翔馬…」


優愛が話しかけてくる。



「ん?どうした?」













「好き」(ぼそっ)







「……………ん?」


ん?いや、え?今なんつった?


「え?ごめん、今なんて…」


「なんでーもなーいよっ! ふふふ!」


「いや! 今のはなんか聞き逃したらダメなやつだった!絶対!だから、もう1回! ワンモア!」


「もぅいいませーん! ははは!」


と、こんなところで優愛のスマホが鳴る。一瞬脳裏を嫌なことがかすめるが、着信先は……


「あれ…?翔馬からだ」


「いや、俺ここにいるんですけどね…なんなんだよ"俺"空気読めよ"俺"」


まあ、どうせリサか世良あたりだろう。


優愛が電話にでる。



「もしもし?」


{「もしもし?…あ、宮崎 優愛か?あたしだ。」}


「えーと…」


{「九重 翔馬の"彼女"の一ノ瀬 世良だよ」}


「え"…!?」


{「ちょっと用事があってな、そこに翔馬いるか?代わってくんねえか?」}


「……はい」


優愛が俺にスマホを渡してくる。だいぶジト目で…


「え…な、なに?」


恐る恐る、それを受けとる。




「も、もしもし?」


{「あ、翔馬か?問題が起きた」}


やはり、相手は世良だったのか…てかこいつ何言ったんだ…めちゃくちゃジーっと優愛に見られてんだけど…!まあ、とりあえず問題の方が先だ


「問題ってなんだよ」



{「リサのバイクが壊れた」}



「はあっ!?マジ?」


{「こんな事で嘘なんかつくもんか、強いて言うならさっきあたしが翔馬の彼女だって、そちらさんに言ったくらいだ」}


おまえええええっ!!マジでやってくれたなっ!!このくそチビロリがっ!!身長ちぢめっ!!


「おまっ!やらかしたなっ!」


{「は?なにがだよ、それよりコレどうすんだ?エンストしてから、全然エンジンかかんねえんだよな…」}


とりあえず落ち着こう。優愛への釈明は後だ。


「今何処にいるんだよ」


{「鳥取」}


「マジか、てか思ったより進んだな」


{「そうか?そういや広島のお好み焼きヤバかったぞ!孝輔がさ、マヨネーズをぶちまけて大変だったんだ!(リサ)がそれを浴びて…ってそんな話してる場合じゃないな」}


いや、ちょっと気になる。だがたしかにそうだ


「で、今はどうしてんだよ」


{「孝輔とリサでバイク押してとりあえずコンビニの駐車場、んで二人はバテバテだからあたしが電話したんだ」}


「なるほど…とりあえず、俺も今日戻るから…夜には合流できるかもしれない。あと、じいちゃんに電話して鳥取県周辺に知人のバイク屋いないか聞いてみるわ」


{「頼むわ! こっちと探したんだけど、何故か近くになくてな…」}


「おう、じゃあ切るぞ」


{「おう、頼んだ! …ってうわっ!おい牛!おまえあたしの荷物にアイスつけんなっ!!やめっ…ブツッ」}


相変わらず騒がしい…


さて、やることが出来た。まずはどれから…


「世良ちゃんて、翔馬の彼女さんなんだねぇ…」


まずは、このジト目の優愛さんをどうにかしよう。話はそれからだ。



【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】














個人的に牛ってかいて、リサって読みが出たのがなかなか、気に入っています。


さあ、やかましい奴等と合流だっ❗



またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

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