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弱虫の反撃⑯

いざ、例の家へ

俺は今しがた優愛の弟くんが入った家のインターホンを押そうと、門の前にたつ。


「…すー、はぁ~っ…っし! 行くか」


俺は意を決して、インターホンに指をつける…その瞬間、ガチャン、と音をたてドアが開き、中から女の子が。そしてそれを追うようにして弟くんが出てきた。


「あ"…」


俺は変な声が口から出てしまい、それに気づいた女の子が首をかしげてこちらへやって来てしまった。


「あの…なにか(うち)にご用でしょうか?」


小柄な少女はそう言った。…ん?あれ?え?(うち)


「え…あれ…?宮崎さんのお宅じゃない…?」


「…?違いますよ?…羽太くんの知り合いですか?」


ヤバい、家を間違ったらしい! 何が涙を止めるためにだよ、俺が泣きそうなんだけど!どうすんのこれ?めっちゃ恥ずかしい!


「え…っと…」


「?…」


少女は羽太くんと呼んだ男の子の方を振り向き、俺を指差して聞く。


「羽太くん! この人知ってる?」


「え?…知らない…」


羽太くんがそう答えると、いきなり疑いの眼差しを俺に向けてくる。


「あ…ええ…と…」


困った、何て言えば正解なんだ?


『おいおい、羽太、忘れたのか?俺だよ』


『思い出した!翔馬くんじゃん』


『『うぇーい』』


と、ハイタッチ。って無理だろおおおお! マジでどうすれば…俺がそんなことを考えていると羽太くんが、俺に向かって


「もしかしたら…姉の知り合いですか?」


と聞いてきた。マジでファインプレイ。羽太くんの空気読むスキル半端ない。このままでは110番もありえなくはなかった! 俺はここぞとばかりに


「そ、…そうなんだよ! えっと…宮崎 羽太くんだろ?俺はアレだ、優愛の、君の姉ちゃんの友人なんだ」


それを聞いた羽太くんは


「…サチ、こいつ嘘つきだから危ないよ。離れて」


「え!?」


「いや、なんでだっ!!」


思わず大きな声がでてしまった。申し訳ない。てかこの少女はサチと言うのか…っつーか、なんで嘘?


「いや、マジなんだけど…」


「お言葉ですが、うちの姉に友人と呼べるような人はいません。もう学校も久しくいっていないし、最近家出したくらいで、その際知り合った人だとしても、言い方とか怪しいです」


おいおい、まじでか…てか優愛、おまえどんだけ一人だったんだよ…確かに話には聞いていたけど、弟にここまで言われるって何故か俺が複雑な気持ちだよ。


「いや、確かに引きこもってたかもしれないけど、俺はその家出中に知り合った友人なんだって!ただ、怪しくないだろ!?逆にどうとったら怪しいんだよ! 俺はどうみても普通の人だろ?」


俺がそういうと二人はヒソヒソ話をはじめる。


「(羽太くん、羽太くん、普通ってのが一番危ないからね?気をつけて)」


「(うん、分かってるよ。)」


うん、分かってないよね?全然分かってもらえてないよね?間違った方向に理解しちゃってるよね?


「あの、とりあえず話を聞いてくれないか?」


「「……。」」


「頼むわ」


と、俺が両手を合わせて祈願すると、羽太くんは「ふー」と息をはいて、


「分かりました。」


と答えて、サチと言う子に一言謝り、ここじゃなんだからと俺を近くの喫茶店に案内した。


奥の席に対面するように腰かける。二人ともアイスコーヒーを頼んで、本題に入る。先に口を開いたのは羽太くんだった。


「えっと…姉と知り合いだと言うのは、本当ですか?」


「ん?ああ、本題。つか、一緒に旅をしてたんだ」


「…そうなんですか…。その、姉はどうでしたか?道中…」


「え?…そうだなぁ…よく泣いてたな…」


「やっぱり…」


と、羽太くん。たぶん、何か勘違いをしていそうなので、なんで泣いていたのかを説明する。


「優愛は自分が悲しくて泣いていたんじゃないんだ。確かに、道中そう言った寂しい顔を見せることもあったけど、基本的に人のために泣いてたんだよ」


「人のために…?」


「そう、ある時は8歳の男の子のは為に、ある時は83歳のおばあちゃんの為に…そして、ある時は俺のために。」


「姉が…」


「そう、だからたぶん今君が、羽太くんが考えた理由とは違うと思うぞ」


「そう…ですね。姉は、帰ってきてから喋ることが増えました。何より、母との会話が増えた。」


どうやら、優愛はそっちはうまくいっているみたいだな。


「あと、よくテンパると噛むよな?」


「あ、そうなんですよ! 父も噛むので、遺伝かと思います」


まさかの親父さん譲りだった。


「それから、朝食に8割納豆を食べない?」


「は!?なんでそれ知ってんですか!?」


「これで理解してもらえたかな?俺の事でもあると…」


「はい…納豆で確信を持ちました。」


なんで納豆なんだよ。そこはせめて"よく噛む"のあたりじゃないのかよ。そんな子とを考えていると、羽太くんは


「先程はすみませんでした…、その疑ったり、ちょっと、その、上から物を言ったりして…」


「いや、気にしてないから大丈夫だぞ」


「あまりうまくは言えないんですが、今ちょっと、知らない人が怖いと言うか…ははは、意味わかんないですよね」


「いや、わかるよ」


「…え?」


「俺は、その話をするためにここに来たんだ。」


「どういうことですか…?」


「優愛と、羽太くん…」


「…?」


「君達を暗闇から引きずり出す為に、俺はやって来たんだ…まぁ、具体的には決まってないし、役に立たないかもしれないしなんだけどな…なんかしら力になれればってさ」


「どうして、その…知ってるんですか?」


「ああ…なんだ、優愛に少しだけ相談されていたんだ」


「姉に…」


「そう、だからとりあえず今は羽太くんと、優愛に話が聞きたいんだ。あと、ちょっと今の優愛は考えすぎてるように思えてな、どうにかして、その苦しみから救ってやりたい」


俺がそう言うと、羽太くんは


「…翔馬さんて…姉が好きなんですか?」


「え"…」


やべ、また変な声出た。


【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】










次回、翔馬と優愛、再会。


またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

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