弱虫の反撃⑫
苦痛な日々に耐える姉弟、闇を指す一閃の光。
翌日、俺はみんなと某携帯ショップへと来ていた。店員さんは俺のスマホをみると「あぁ~…これは…」とあるある、と言わんばかりだった。
「こちらは、保護フィルムは…?」
「あ、えーと…気泡入って、ウザくなってはいじゃったんですよね…それで、新しいの買えばいいやってそのまま…」
「あぁ~そんなんですねぇ…」
とかなんとか会話をし、そして話は進み、遂に…――
――「じゃーん、新しいのになりました!」
俺は新しくなったばかりのスマホをみんなに見せる。
「おぉ!」
「あら、最新のやつじゃない」
「今調べたが、画質がかなりいいらしいな」
どうでも良いことだけど、スマホや最新の携帯ゲーム機がでると、まず画質や映像の美しさの話しになるのは何故なのか…そして、画質の話をしても別段詳しく話し込むのではなく、単に前より良いみたいだね。くらいで会話はよく終わる。不思議…と、みんなが新たに出発する準備をしているなか、俺はその間見れなかった通知を消化していく。
着信履歴は2件、二つとも優愛からだ。昨日中途半端に切れたもんだから、かけなおしてきたのだろう。そしてメールは1件、こちらも優愛からだ。
内容は『電話ごめんね!』と言ったものだった。とりあえず今は、ショップの駐車場なので、後でかけ直すことにする。あ、そうそうそれから俺達は今、北九州をぬけて瀬戸内海へとカムバック。
山口県へと突入していた。
【山口県】は、日本の県の一つで、本州最西端に位置する。中国地方を構成する五県のうちの一つで、九州地方との連接点の地域である。県庁所在地は山口市。
中国地方を構成する県(中国五県)の一つで、県土の大半は山陽地方に含まれ、北部の萩市・長門市が山陰地方の西端に当たるとされる。県庁所在地は県央部の山口市であるが、下関市は経済規模で山口市をしのぐ。また、下関市・宇部市などの県西部は経済面などで福岡県地域との繋がりが密接であり、岩国市などの県東部は広島県地域との繋がりが密接である(詳細は後述)。
令制国の長門国と周防国に相当するので、防長という別名を持つ。周防国と長門国は後に毛利氏によって統治され、江戸時代には併せて長州藩と称していたことから、長州と呼ばれることもある。また、「西の京都」と言う意味から山口市付近は西の京=西京とも呼ばれる。【Wikipediaより】
また、山口県は日本一大きなカルスト台地、秋吉台は有名である。また、この秋吉台の野焼きは1500ヘクタールある事から日本一の野焼きとされている。さらに、大きいものがあれば、小さいの日本一もあり、笠山と言う日本一小さな火山があることも知られている。あとは言わずと知れたフグの名産地で、それを食べるために県内外からの観光客はたえない。【ココペディア調べ】
さあ、そんな感じで本州へと戻ってきた。そう言えば、優愛から聞いた話はどうなったのだろうか?
「ま、大丈夫だったのかとしれないな…」
俺がそう呟くと、少し離れたところにいる3人に「出発しようぜ!」と呼ばれて、駆け足でそこへ向かった…
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チカちゃんからの電話を終わり、私は唖然としていた。電話の内容はこうだ…
羽太くんが私のせいで今の状態にある事。
家族みんなの電話番号を控えられている事。
それがもう、一週間以上続いている事。
私の身勝手な行動で、羽太くんを巻き込んでしまった…しかも、彼は私を守るために、立ち向かってくれたのだ。
「何が、私には興味ないだ…興味なかったのは、私の方じゃないか…」
無関心だったのは、私の方じゃないか…彼は私の為に両親との間に入ったり、悪口を言う人に立ち向かったり…私は…なんて無知で、無力なのだろう?零れる涙を何度ぬぐっても、次から次に流れてきて、顎先で行列を作り、床へと落ちていく。
「私が泣いてちゃッ…ダメッ…なのにっ…くっ…」
止めようと努力するが、うまくいかない。これから先への不安、羽太くんへの罪悪感。私はどうすればいいのだろう?どうすれば、この状態を抜け出せるのだろう?羽太くんを、解放できるのだろう?…私は、誰かに助けを求めたくて…スマホをとり、翔馬にかける…
『電源が入っていない為、お繋ぎできません』
女の人の声で、そう言う。私はもう一度無言でたんたんとスマホを操作し、翔馬にかける。が、やはり同じ台詞が繰り返された…。もう一度…と考えて、そこで留まる。
あまえすぎているような気がして、頼りすぎているような気がして…
「ほんと…何かあると、すぐに助けてもらおうとしちゃう…翔馬なら…どうにかしてくれるんじゃないかって思っちゃう…」
私はごろんと、その場に横になり、今の心境とは全く違う一言をメールにしたためる。
『電話ごめんね!』
これなら、いらない心配はかけないだろう。私は、私の困難に、自分だけで立ち向かうべきだ。何度このメソメソする姿勢をやめようと、やめたいと思っただろう?なんどやってもうまくいかない。それでも、私ががんばるんだ。一人でがんばらなくちゃ…!怖いけど、これ以上は親にも、翔馬にも…そして羽太くんにも迷惑はかけられない。
私はそう思って、羽太くんと同じ平気なフリをすることに決めた。涙も一応止まり、羽太くんと話をするために隣の部屋へ行くことにする。そろそろお風呂も出ている頃だろう。すると、羽太くんの部屋のドアが少しだけ開いていて…
「…くっ…ぐっ…なんでっ…俺がっ…俺っ…くっ…そ!…うっ…」
嘆く彼の声が漏れるドアの前で、私は固まってしまう。もしも、もしも…毎日羽太くんが私のせいでこんな風に泣いていたとしたら?
もしも、羽太くんがあの日、ほんとうはお風呂に入って泣いていたとしたら?
いや…もしもなんかじゃなく、きっとそうなのだろう。
世の中、救われない…報われない事が多いのは、なんとなく知っていた。だけど…これは…
私は結局羽太くんの部屋へはいかず、自室に戻り先ほど止めたはずの涙をあきもせずに、ひたすら流した。
「こんなの…どうしようもないよ…うっ…ううっ…」――
――泣きつかれて眠ってしまったのか、気づくと日が登り、いい時間になっていた。
瞼が重い…。私は、部屋を出ると羽太くんの部屋をみる。時間的にもういないことはわかっていても、部屋の扉をノックする。やはり、もう学校へと向かったようだった…
どんな気持ちで今朝は出掛けていったのだろうか?…
「頼りないお姉ちゃんでごめんね…」
話をしたかったが、いないのでは仕方ない。私は、部屋に戻る事にする。と、スマホがチカチカと光っていて、通知がある事に気づく。
正直、開くのが怖いがみないわけにもいかず、通知をみると
『翔馬 着信2件』
電話全然気づかなかった…
「あれ?私…サイレントにしてる…だから気づかなかったんだ…」
でも、今翔馬にかけたら…きっと頼ってしまう。だから、今は…と、その時、また着信がなる、一瞬ビクッとして相手を確認すると
『翔馬』
今でてもいいものか迷ったり、いろんな事も考えたが
「ずっと出ないのも悪いかな…」
と、そう思って、私は今の事を隠すつもりで翔馬の電話をとる。すると、
{「あ、もしもし?あんた、宮崎 優愛か?」}
急に聞こえる、知らない女の人の声…
「あれ?え?…えっと…あの…そう…ですけど…?」
{「ん?あれ?あんた風邪か?大丈夫?えらく鼻声だけど…」}
いや、それは泣いていたからで…てか、え?誰?
「あの…誰、ですか?」
{「ん?ああ、あたしか?はっはっは、ごめんごめん。あたしは一ノ瀬 世良ってんだ。あんた、九重 翔馬って知ってるよな?
――伝言だ。
今から助けにいく、涙ふいて待ってろ。だってよ」}
「え…? どういう事…?なんで…え?」
【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】
さあ、翔馬がなぜか急に動きました。今の世の中誰が何処で見てるかわからないからね、悪いことしちゃダメだよ❗
またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん




