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弱虫の反撃⑩

引きずる過去。


進む未來。

「私の弟に、なにしてんの?」


「は?」


「なんだおまえ、弟?」


「あんた優愛じゃない?」


わかってはいたことだけど、全然相手はひるまない。だ、だよね~…正直、凄んだ感じでいったつもりなんだけど、全然だ…。3人は私の登場に顔を見合せ何か相談をしている。羽太くんは私の方を見て、「なんできたんだ」と言わんばかりだ。


やはり、得策じゃない事はしないほうがよかったのかな…?いや、そんなはずはない。現に今は羽太くんにも、私にも被害はない。今のうちに何か次の手を考えなくちゃ!


まずはどうしよう…羽太くんと逃げるのが一番だろうけど、それは難しそうだ。第1、私はそんなにかけっこは得意な方じゃない…。


私がそんなことを考えていると、羽太くんが立ち上がる。それに気づき、3人がこちらを向いた。


「おい、誰に許可とって立ち上がってんだおまえ!!」


「おまえは土くってろや!!だいたいなんだその女ぁっ!!」


「いや、姉でしょ。私学校一緒だったし」


女の子がそういうと、赤い髪の男の子は


「え?そうなの?」


「さっきいったじゃん。つか今。」


「そうだっけ?」


「だからあんたは、鳥頭だっていわれんのよ…にしても…」


女の子はそう言いながら私をじろじろと、頭の先から足の先までを見る。


「あんた、学校やめたんじゃないの?つか、なんでいるわけ?うざいんだけど。ここでもウチの邪魔するわけ?」


そう言われて私は反論する。


「一度も邪魔なんかしたことない! 私は普通にしてただけだよ!」


「は?普通?普通ってなに? 男に媚うって優しくされんのが普通なの?は?なにそれ、なめてんでしょ」


「媚なんて売ってない、私は友人として話を聞いたり、相談にのったりしてただけだ! だいたいあのときだって!」


私が話をしていると、それを遮るようにして女の子は


「…ッチ、まじむかつく。そういう…良い子ぶってるとことか!」


と、言いながらこちらに詰め寄る。それをみていた赤い髪の男の子が「やれ!やれ! チカなら楽勝だからっ!」と、声をあげる。大柄の男の子はうで組をして、私と羽太くんを見張るようにして、睨んでいる。


正直言おう。怖い…。いやもう怖い。こんなの嫌だ! 叩かれたら絶対痛い! どんどんこっち来る! 顔怖い! 逃げたい!


と、その時だった…私のスマホがなる。


急な音に周りもビクッとする。このチャンスはいかさなきゃだめだ! 私は着信先も確認せずにすぐに出る。


外部に繋がる希望だから…


「も、もしもし?」


{「あ、もしもし…?優愛か?」}



翔馬だ。



声を聞いた瞬間に安堵(あんど)からちょっとだけ泣きそうになる。私が黙っていると



{「あれ?…もしもし?今大丈夫か?少し話せる?」}



今は大丈夫ではありません。話せるかもわかりません…ただ、私は今、貴方は本当にヒーローだと思っています!



「え…えっと…私…」


私の変な態度に疑問をもったのか、たまたまなのか…翔馬が急にこんなことを言い出す。


{「なあ、ちょっとビデオ通話にしていい?いやさ、ちょっと今、おまえの話になっててさ…ちょま!おい!やめろ孝輔っ!!さわんなって!あ!世良!おまっ…ガチャ、ガチャン…」}



明らかにスマホを落とした音が耳に飛び込んでくる。そして


「えっと…」


{「もしもし?韮崎?あなた元気なの?」}


今度はリサちゃんが出る。そして、私が電話に出たからか、3人は何かを話して、歩いて公園から出ていく。大人を呼ばれても面倒だとでも思ったのかもしれない。


羽太くんはベンチに腰かける。そして溜息を短くはいた…。


私も羽太くんの隣に腰かける。


「はぁ~…リサちゃん…私泣きそう…」


{「は?どういうこと…?家族とうまくいなかった?大丈夫?」}


「ううん…大丈夫…。大丈夫じゃなかったけど、大丈夫になったよ。二人のおかげ…ふふふ」


{「は?どういう意味よ? 大丈夫なの?」}


たぶん、今回は回避できたけど、それはたまたまだ。今後は顔も覚えられているし…いつ、出会うとわからない…それを考えると、少し失敗してしまったかもしれない。それでも、先に進まなきゃ何も変わらない。


{「まあ、あなたが無事ならなんでもいいわ。もう一度聞くけど、大丈夫なのね?」}


「うん、大丈夫だよ。ありがとう!ところで、電話なにかな?私…」


そこまで言うと私のスマホの充電が切れてしまった…。あとでちゃんと、かけなおさなきゃ…


「はぁ~」溜息。


そして、なんとなく暗くなった画面を眺めていると、急に体が震え出す。怖かった。すごく…。


眼に涙がたまる。そして口をついて、言葉がでる。


「こ、こわかったぁ~…もう絶対こんなことしたくない! ああ…こわかったよぉ」


私が弱音をはいていると、羽太くんが私を見て


「てか、なんできたの?」


と、聞いてきた。ど、どうしよう?一日ストーカーしてました。何て言えないし…ていうか、むしろなんで羽太くんがこんなことになってるのかが先だよね!


「羽太くんこそ、なんでこんなことになってるの?」


ちょっと怒りながら言う。なぜそんな態度になっちゃったのか…でもたぶん、自分で思ったよりも心配しているのだと思う。そしてそんな、慣れない怒り方をする私に、羽太くんは不思議そうな顔をする。でも、


「俺は…その…」


言いづらそうな羽太くん。なので私は


「わかった。とりあえず後から聞くからさ、お家に帰ろ?」


そういって、ベンチから立ち上がり手を差し出す。正直まだ怖い。これからを考えるともっと怖い…。


でもとりあえずは、お家に帰ろう。そして、ゆっくりと話をしよう…。私はそう思った。


羽太くん…ちゃんと話してくれるかな…?



【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】























次回は帰宅後の優愛から翔馬回です。


翔馬達は中国地方へ❗


またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

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