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弱虫の反撃⑥

気づかないところで物事は起きている。


気づいたときには、すでに始まっている。

俺は、優愛との出会いから今まで、そして先ほど聞いた話をみんなに伝える。


「なるほどな…でも、まだ確定じゃないんだろ?」


「ふむ、だがそうだな…今の段階でできることは少なそうだ…一応気にはかけておこう。」


「そうね、何かあれば動けるようにしときましょ。てか、韮崎は…弟の事とはいえ、本人はどうなのよ。そう言えば、この間翔馬が電話したあとかけたら、全然知らない人に繋がったのよね…」



唐突なカミングアウト。



「は?どういう事だよ、ちとみせてみろ…」



俺は、リサからスマホを受けとる。確認すると下二桁が、俺が登録したのと違うものとなっていた。凡ミスじゃねえか!!



ちょっとしたミスも見つかったが、まあコイツらに話しておけば少しは安心ではないだろうか?本当にもしも、もしも何かあったなら動いてくれるに違いない。


「なんか、すまん。みんなありがとな」


「アンタ何言ってんだ?あやまることなんてねぇだろ。お互い様だ」


「そうだぞ翔馬。お互い様だ…。そう言えば、その宮崎さんとやらはどんな、人物なんだ?」


「ん?ああ、こいつなんだけど」


俺はそう言ってスマホをの画像を見せる。


「ほう…」


「これは…」


世良と孝輔が画像をまじまじと見てから、


「某アイドルにいそうじゃん。まじか、こいつ絶対モテるヤツだな。」


「とても可愛らしい人だな、翔馬、さぞ道中楽しかっただろう?リサ様とこの子だからな…」


孝輔の発言をきいて、世良がかみつく


「おい、どういう意味だ。あたしは、役不足だっていうのか」


「いや、世羅も顔は可愛らしいと思うぞ、だがいかんせんそこに行き着く前にどうしても、その小柄な体系と…」


そう言って孝輔は世良の胸に視線をチラリと向ける。


「まあ、小柄な…な?」


俺に話ふるなよ…


「まあ、なんだ。世良、おまえが世界一だ!」


「な、なんだよ急に…!べ、別にそんな、あたしは…///」


少し照れて落ち着く世良。…ちょろい。まあ怒らせずにすんでよかった。


「ちょっと、このチビロリが世界一なら私は?ねぇ翔馬!私は?」


めんどくせええええええ!!もうおまえら全員世界一だよ!!むしろ銀河一だ!!銀河系軍団だ!!レアル・マ○リードかッ!!と…取り乱してしまった。俺はリサの方を向き、にこやかに笑いながら言う。


「リサ、おまえが優勝だよ。」


「ふん! 当然ね。」


なんなんだこれ。その俺のすーぱーにこやかスマイルを見た世良と孝輔は



「うわっ、翔馬がにこやかだ!」


「うわっ、本当だ…これはもうだめかもわからん」


「うわっ、翔馬がにこやかだわ」


「なんで最後におまえまでのっかってんだよ!!」



そんな事を話ながらも、俺は何かあったらすぐに対処できるように、頭の奥にはしっかりと優愛の事情を刻みこんでおこう。そう思うのだった。



・・・・・・・

・・・・・

・・・

・・



翔馬との電話を終えた私は、悩んでいた。



翔馬はきっと助けてくれるだろうが、何せ今は旅の途中。もし、羽太くんが本当にいじめられているとしたら、翔馬がすぐに来てくれたとしても時間はかかるだろう。


それに、やはり憶測だけで確信がない。やはりここはしっかりと慎重に、迅速に状況を知るべきだ。…でも、どうやって?って



「結局振り出しだよ~…あああ~…」



布団の上を転がる。答えなんてでない。



「とりあえず、よく観察しなきゃだよね…そして1日1日で変化を見つける…」



口に出して思うことがある。たぶん、これをするのは難しい。でも、くよくよ悩んでいても仕方ない。まずは羽太くんに気を付けよう。それからだ!!…てか私、人の心配する余裕もできてるんだなぁ…。冷静に考えるとスゴいことかもしれない。


「よし、がんばろう!!人の心配もだけど、自分の事もしっかりやらなきゃ!」



自分の事もできないで、人の事なんてそれはただの逃げみたいなものだ。人の事を考えていれば、自分の事を見なくてすむ。だけど、それじゃダメなんだ。私はそう思う。だからこそ、まずはちゃんと自分の事を。



「さて、切り替えて勉強しよ…」



・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

・・・

・・


――数時間前。


「おい、羽太、おまえ先輩にそんな態度で良いと思ってんの?」



大柄な男の前に、うずくまる少年が一人。


「だっはっはっはっは!!ケンちゃんマジウケるから!!おい羽太ッ!!おまえ黙ってんじゃねぇぞッ!!逃げたら家行くからなッ!!」



少年に意味もなく蹴りを一度いれ、そう笑う髪の赤い学生服の男。


「ああああ~こいつほんっと泣かしたい。マジでイラつく。なんでこんな、リアクションしないわけ?ねぇ、ケンタちょっとこいつの指折ってみてよ…?ッぷ!あっはっは!」


薄く茶色い髪、一見清楚にみえる学生服の女も笑う。



しかし、うずくまる少年は決して悲鳴をあげることなく。


泣くこともせず、ただただ、体と心に増える傷に耐える。



なぜこうなってしまったのか。はじめは、姉をバカにした連中に謝らせたかっただけだった。


数ヵ月前、姉が学校を休学した。再婚したときには、はじめてできた姉に戸惑ったが、何かと不器用にも気にかけてくれる優しい姉だった。自分の母親とうまくいってはいなかったが、それなりに家族をしていた。


そんなある日、少年は姉と同じ制服を着ている女生徒が姉の事を楽しそうに話しているのを、たまたま耳にする。



「そういやさ、優愛のヤツ休学したらしいよ」



「はぁーッ!?マジッ!?ウケる!!あいつ中村くんに近づくからだよ、チカが黙ってるわけないのにね、バカなんじゃないの?だっはっはっはっは!!すげぇハブられてんでしょ?!優愛のヤツ!」


楽しそうに受け答えするもう一人。


――黙っていられなかった。


気づいたらその少女達に文句をいっていた。そして、その途中…大柄な男がやってきたのだ。


そこから、おもちゃにされるまで早かった。


圧倒的な力、抵抗すればするたびに悪化する状況。


自分の事を嘲笑う声。だが、自分の事何てどうでも良かった。姉をバカにする言葉だけは、少年の心をえぐる。


だが、なす術などない。自分の無力ただただ、恨み、この暴力と暴言ただただ、憎んだ。


そして、解放される時に、スマホから家族の番号を抜き取られる。そして、こいつらは言うのだ。



「ちくったら、おまえの家族全員同じ目にあわせっから。」



この一言は、少年をこの場所に縛り付けるのに充分すぎた。



それから、少年の耐える日々がはじまるのだった。


何食わぬ顔で家をでて、何食わぬ顔で家に戻る。


その間、あいつらの気が向いたら呼び出され殴られる。


そんな、糞みたいな暇潰しの道具としての日々が…はじまったのだった。



そして、今日も見えないところに傷を作り最後には水溜まりのなかに投げ込まれた。



解放され、帰りながら悔し泣き。そして家の前、涙をふき深呼吸。



ドアを開けると、スマホがなり――。



ドアのなかにいる唯一の希望達に少年はこう言う。



「ただいまー」



何食わぬ顔をして、いつも通りに。



【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】



















シリアスが来たぞー!!


うちの面子はどうきりぬけるのでしょうか?


じわじわと話が動きます❗




またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

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