表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/79

とっておきキャンバス⑱

なんやかんやで運動会がはじまるのだった。

「ど、どうしたんですか!?」


昨夜あんな話を聞いたばかりだからか、変に勘ぐってしまう。すると、くるみさんは


「…ふっ…ちがっ…大丈夫…だっ…大丈夫でっ…すかっ…ら」


と言って涙をふく。


「いや、でも…」


「っふ、フフフ…ごめんなさいねっ、テレビなのっ、テレビで飼い主に寄り添ってた…犬がねぇ…うっ…ふっ」


えぇ…。よくあるヤツですか…まさかの。たまに動物番組とかでありますもんね、人に寄り添って生きてた犬が老衰とかあんな話。犬すげぇ良いヤツじゃん!ってなるタイプの。まあ、なんにせよ例の件関係じゃなくて良かった。


「そう言えば、昨日の夜貴幸さんに会いました」


「え?たぁく…貴幸さんと?」


「はい、お二人がお付き合いしてる話を聞かせてくれて」


「え?ふふ、そうなんですか!」


どうしよう?聞いてみるべきか、聞かざるべきか…。てか貴幸さんの話聞くのうれしそうだなぁー…。すげえニコニコしてる。と、ふと時計が目に入る。時間をみて、俺は少し慌てる。


「やばっ」


「どうしたんですか?」


「あ、いや今朝少しリサ達がくるみさんに話したじゃないですか?」


ご飯前の騒ぎの後にリサと世良がくるみさんに運動会について聞いていたのだ。


「ああ、明日はお願いします!頑張りましょうね!…あ、翔馬さんは運営でしたね、設営!!」


察してくれたようです。


「そうなんですよ、俺だけなぜか運営の手伝いなので、設営いかなきゃで」


「それは、なんか私たちの為にすみません」


「いやいや、自分達で選んで首つっこんだだけなんで!大丈夫です!それじゃ!」


と言って、俺はその場を後にした。


さて、ペンションを出て、徒歩20分くらい歩けばグラウンドが見えてくる。なんでも普段は地域のゲートボールチームや、地元の少年野球チームが使用しているらしい。そこには30人ほどの男の人が集まっていた。中には鈴木さん(居酒屋の大将)もいて、すぐに合流し、話をすると鈴木さんが人を集め、俺は自己紹介をする。すると


「この子が、俺がいってた手伝いのにーちゃんだ!」


「九重 翔馬です。よろしくお願いします。」


「よろしく」とか「がんばろうな」と口々におじさんたちから言葉が返ってくる。中には俺より少し年上くらいの人もいるようだ。それから、鈴木さん達と必要な分テントを建ててまわる。パイプ椅子なんかを軽トラからおろし、それを並べる。2時間ほどかけて、会場は完成した。そして明日の役割がつたえられ、「お疲れさまでした!」と、ここから今まで仲良かった男達は、急に顔色を変える。


「明日は負けねえからな!」


「あ?てめぇらなんかにウチが負ける分けねえだろうが!」


「陸上選手にたすけてくださ~いとか、なっさけねぇやつらだなぁっ!!」


「んだと?ゴラァッ!アイツはうちの出身だって何回言わせんだっ!!」


まさにバッチバチの一触即発である。さっきまで「せーの!」とかいって一緒にテント建ててたのに…どうしてこんなことに…と俺が少し、挙動不審になりかけていると鈴木さんがやってきて


「驚いたろ?毎年こうなんだわ!ガッハッハ!気持ちを高ぶらせてないとな、何せ明日は戦争だ!」


「いやいや、運動会ですよね…?」


そう言う俺に鈴木さんは不敵な笑みを浮かべる。え?運動会だよね?正々堂々戦い抜くことを誓うんだよね?赤、がんばってください。とかのあれだよね?


「まあ、明日は頼むな!」


「は、はい」


「ビビんなビビンバ!なんちってな、ガッハッハ!」


大将、こんな人だったっけ?まあたぶんこんな人なのだろう。それから、俺は会場を後にしてペンションへと戻る。玄関をあけ、入るとギターの音が聞こえてきて、リビングへいくと、孝輔がソファーにこしかけ、ギターを弾いていて、そして彪牙さんが隣で机を叩いてリズムをとり、ソファーの後ろで大河さんが首を軽く降っている…そして、一人がけ用のソファーにいたリサがペラッペラの英語で歌い始めた。ナニコレ、MV(ミュージックビデオ)


そして、部屋にいたのだろうか?世良がどこからかやってきて俺のとなりに並び、


「なにこれすげぇ…。」


とつぶやく。


「マジで、なんだこれ。無駄にカッコいい。」


そして曲が終わる。俺と世良はパチパチと拍手してリビングへとはいった。世良は


「すげぇな。牛って歌、歌えるんだな」


「ちょっとどういう意味よ」


「いや褒めてんだよ、変態ダメガネもギターひけたんだな」


「まて、変態ダメガネとは俺のことか?」


「他に誰がいるんだよ」


「ありがとうございます。」


そんな感じで一日を過ごす。夜にはまた演奏会がはじまり、俺も持っていたハーモニカで参加させてもらったのだが、驚いたのは、孝輔の多才さだった。マンドリンとかもひいていて、本人いわく、「弦楽器なら大抵イケる」らしい。そして、ほんわかカントリーな一日をすごし、俺達は明日に備えて早めに休むことにする。なにやら運動会の何に出るかとかは昼頃に話し合ったらしい。みんながそれぞれ何に出るのかは、楽しみにとっておこうと思う。


そして翌日、運営の俺はみんなより早めに起きて準備をしリビングへ向かう。すると、そこには朝御飯が1つ準備されている途中だ。と、厨房からご飯を持ったくるみさんがやってきて、


「今日は頑張りましょうね!」


と明るく両腕を曲げて胸元でグッと握りこぶしを作り、笑顔で言う。正直可愛い。


「そうですね、俺も1個、綱引きくらいは出ると思うので、健闘できるようがんばりますね」


「はい!頑張りましょうっ!!」


くるみさんのこの感じから楽しみだったことがうかがえる。そんなくるみさんに見送られ、俺は一足先に会場へと足を運んだ。そして、会場へ到着すると、鈴木さんが手を降り、俺を呼ぶ。


「翔馬くん!こっちだっ!この旗!これを頼む!」


「あ、おはようございます!わかりました!」


俺は渡された旗を旗立に運び、立て掛ける。この運動会はポイントせいで、そのポイントの為に旗を使うらしい。


1位=5p


2位=3p


3位=1p


という感じだそうだ。それからいろいろと雑用を頼まれてそれをこなす。そうしてようやく準備が終わるころ、ぞろぞろと人が集まりだして、とうとう運動会が始まる。うちの面子(メンツ)もやってきて、話す暇はなかったが手を降ってくれたので、それに答えて、俺もふりかえした。さて、そうこうしていると開会式がはじまり、あれよあれよという間に、1つ目の競技がはじまるのだった。




〔『はじめは、100m走です参加するかたは、指定の場所に移動してください。』〕



――くるみさん家もいる南地区サイド


放送を聞いた世良は、みんなに聞く。


「なぁ、100m走ってだれで登録したっけ?」


「確か孝輔じゃなかったかしら?」


とリサ。くるみさんも


「孝輔さん、がんばってくださいねっ!!」


と言い、伸雄さん、大河さんも


「がんばってくれよ」「頼むね」


と言ってみんなに応援される。応援された孝輔は眼鏡をクイッとあげて





「正直、期待してくれて構わない。」




【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】





















予定では『とっておきキャンバス』も残り2話です。


またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ