とっておきキャンバス⑦
まさかの彼氏に少し驚く翔馬達、しかしそのあと予想だにしない事態に巻き込まれる――。
「か、彼氏ですか……。」
いや、失礼なリアクションだろうか?だが、なんというかその、とても個性的な男性なので、こんなにゆるい系のしかも、美人なお姉さんが彼女なんて思いもしなかった……。
「正直、あんなのが彼氏とか、私は無理ね」
「おおおい!?失礼千万だなおまえ!そんな言いかたないだろ!」
「あら?おかしいかしら?でも事実よ、アナタが女性だとしてあの人と付き合える?」
「ぐ…」
グーの音もでない…でも当人同士が良いならいいじゃないか!!黙る俺を見てリサは
「はいはい、日本人は奥ゆかしいわね、結構、結構。」
と言って、水を一口、口に含みのみこんだ。これが、外国と日本の差か…彼らは常に正直で真っ直ぐだ。子供の頃から痛感するこの感覚の違い。毎度思うが…"馴れない"
「ははは…、すみません、よく言われるんで大丈夫ですよ」
とお姉さんが気を使い、少しだけ彼の事を訂正する。
「でも、彼…貴幸くんは、ああ見えてとても素敵なんですよ。」
「まあ、人の趣味にまでどうこう言わないわよ、私は無理だっていってるだけだし、気分を害したなら謝るわ。ごめんなさい」
いや、本当害さない方がおかしいから。謝んなさい!!もっと、全力で!!
「あ、いえいえ、そんな…まあ確かに髪はのびまくってボサボサですし、身長も高くはないですけど、ただ…誰よりも素敵な"絵"を描くんですよ、彼…ふふふ!」
そう言って、お姉さんは柔らかく笑う。そして、思い出したかのように注文を取り直しはじめる。
「あ、そうだでしたね。そう言えばご注文は…えぇと、赤牛のハンバーグステーキと…お兄さんは…?」
と言って孝輔を見る。孝輔は、空気を読んだのか今度はふざけずに「俺も一緒のものを、あとそれをもうひとつ」と言って世良の分まで一応注文し、お姉さんはペコリと頭を下げて「かしこまりました」と厨房へと消えていった。すると、孝輔が
「そう言えば、世良とたか…たか…なんだったか…」
「隆之助よ」
「いや貴幸さんな。どっから出てきたんだよその、"のすけ"」
そんな話をしながら、料理と世良を待つ。が、なかなか戻ってこない。30分ほどたっただろうか?俺達の会話が、壁にかけてある阿蘇の写真は、今日通った場所でしょうか?ゲームみたいなものになっていて、テーブル席のカップルは先ほど帰り、俺達の肉が順番に出始めていた。と、さすがに世良に一度連絡を取ることにする。俺が孝輔に世良に連絡してくれるように頼むと、孝輔もそうしようとしていたらしく、すぐにスマホを取り出した。
そして、電話をかけると思いの外世良は早めに電話に出たようだった。
{「もしもーし、孝輔?どったの」}
「世良、もうごはんできてるぞ」
{「え?ご飯…?あ、おいアンタ何してんだっ!おい、ばっ…やっ…!うぶっ!ゴボッ」…ツーツー…}
「…世良?どうした?もしもし?」
幸助は不思議そうにスマホを見たあと、おもむろに立ち上がり「世良になにかあったかもしれん」と言ってきた。
「は?どういうことなのよ」
「わからん、が…少し慌てた様子だった」
「あわてた…か…」
「リサ様、翔馬、すまないが探してくる」
と言って急に店を飛び出していく。俺とリサも慌てて立ち上がり、料理を運んできたお姉さんに、あとからいただくことを伝えて、事情を話し、一言謝って店を出る。すると、店内にいると気づかなかったが、外は雨がふっていた。
「うわっ雨か、全然気づかなかったな」
「何のんびりしているの?翔馬、行くわよ」
「お、おう!」
そういって、すっかり暗くなって雨のふる中、先行する孝輔を追って走りはじめる。てか、あいつ世良の場所わかってんのかよ!?
そして、孝輔においつく。
「孝輔、おまえっ!世良の場所、わかってんのっ?」
「大丈夫だ、問題ない」
と言ってスマホを見せる。止まって確認する。そこには
【親子の位置関係】
とポップに書かれたアプリが起動されており、航空写真にて写しだされたマップ、その田んぼに困れた小さな川の所で青色の点が点滅していた。……って、
「川っ!?」
「そうなのだ。急がねばなるまい」
いや、確かにそれは急がなきゃならない。正直なぜおまえがそんなアプリを起動して更には世良の場所、GPS情報をどのように取得しているのかとかも気にはなるが、それどころではない。そして、少ししてからリサが俺達においつく。
「…ってか!はぁ、はぁ…!孝輔…っ、早くない!?しょ、翔馬のペースに、なんで…ついていけんのよっ…!はぁ、はぁ…」
と、両膝に手をついてリサは息をきらしながら、ちょいちょいと、スマホを見せてくれとジェスチャーをする。孝輔はすぐにマップを見せる…すると、
「oh My god!!最悪じゃないっ!!いそぎましょう!」
とすぐに体制を建て直し、3人で先を急ぐ。道は街灯も少なく雨もふっている…最悪、"川への転落"も充分に考えられるのだ――。
想像してゾッとする。
「マジで…勘弁してくれよ…っ!」
俺は走りながらただただ、あの破天荒な少女の無事を祈るのだった――。
【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!!】
※キャラクター紹介
【名前】:一ノ瀬 世良
【年齢】:18歳
【身長】:143cm
【体重】:だいぶ軽い
【性格】:物怖じしないタイプ。情にあつい。
【バスト】:B(自称)
【好きな食べ物】:パン、オレンジジュース、鶏のタタキ
またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん




