イチョウの下で会いましょう⑭
リサ達とはぐれた翔馬達、それから連絡を取り――。
あれから俺と優愛は、10分ほど待ったがリサと多鶴子さんは現れず、連絡を取ることにする。スマホを取り出して、リサにかける。
すると、数回コールした後にリサが出た。
{「もしもし?翔馬?あなたどこにいるのよ!」}
「いや、おまえが何処いるんだよ!心配しただろっ!多鶴子さんとか大丈夫なんだろうな?」
{「多鶴子は無事よ、もちろん、私もね!」}
「まあ、ならいいわ。てかどこではぐれたんだ?」
{「信号につかまって、声かけたしクラクション鳴らしたのにアナタ達、そのまま行っちゃったじゃないっ!」}
全然気づかなかった(´・ω・`)
「え?マジか、すまん…全然気づかなかったわ」
{「本当に信じられない。翔馬のボケナス味噌ちゃんこ!!アナタ達が過ぎたコンビニの駐車場にいるから、5秒できなさいっ!いいわねっ!!」ブツッ}
と勢いよく通話を切られる。
「…むちゃくちゃいいやがる。」
ボケナス味噌ちゃんこて…地味にうまそうじゃねえか。とかそんなこと言ってる場合じゃない。急がねば!
「リサちゃん達、大丈夫だった?」と優愛にたずねられるが「とりあえず無事だ、すぐ出るぞ 」と伝えて、元来た道を引き返す。
少し戻るとコンビニが見えてきて、道路側に腕を組んで明らかに不機嫌そうな外国人がこちらを見ている…。
駐車場には入り、とりあえず謝る。謝るのだが、「何が悪かったと思うの」とか、「翔馬はわかってない」とか、なんで女性はそういうことをいったりするのだろうか?
俺だってわざとじゃないんだから仕方ないだろ!確かに悪かったけど謝ってるじゃん!とか、思ったりもするが悪いのは悪いのでとりあえずしっかり謝っとく。
「悪かったってば、ごめんな」
「知らないとこで不安なんだから、置いていかないでよね!」
「おう」そう答えて罰が悪そうに頭をかいてバイクにまたがる。
優愛がクスクスと笑って「どんまい」と言ってきた。それに頷いて、先へ進む。
すると通る道には、よく『うどん』ののぼり等が目につく気がする。適当にうどん屋を探して入る。
四人でテーブルにつき、おしながきに目を通す。
「私はかけうどんにしようかね」
「あ、私もそうしようかな」
「じゃあ、俺は釜玉だな」
「私も卵のやつにするわ」
このお店は、わりとご年配の方がしているようだ。お客さんは作業着の人や、鳶職のような人が目立つ。うちの三人がおしゃべりをしている間、なんとなく、周りを見てそう思った。そうこうしていたら、お目当てのうどんがやってくる。
さあ、本場の味をいざ、実食!!
「うまっ!やっぱうまいな!」
「本当!おいしいね、なんか思ってたより全然こしがあってちょっとびっくりしてるよ!」
「本当に、おいしいわねぇ…どうしてこんなに違うのかしら」
そんな話をしていると、客をさばいていたおばあさんがやってきて「お店でまた全然違うんだよ」と教えてくれた。
「なるほど、だからうどんマップとかあるのか…」
「確かに、気になっちゃうよねっ!こんなにおいしいなら、他のはどんななんだろう?とか」
それから、また黙ってうどんをすすり出す。しかし、何年たってもまともにすすらない…いや。すすれないのか?そんなやつが一人、箸を上手に使いながら「ちゅるっ、ちゅる」とまるでパスタを食べるようにうどんを食っている。
決して、別にそれが悪いわけではない。文化の違いと言うヤツは当たり前のように存在するのだ。ただ、俺はそれを見るたびにそう言えばコイツ、イギリス人だったなと思い直すのだ。なんだろう?なんか理由は分からないが、それをなんとなく寂しく感じる。
そして、うどんを食べ終えてあらためて愛媛県の端を目指す。
そこから海を渡って大分県に入るのだ。走行中、今度は見失わないようにと、結構な回数後ろを見た。船着き場についたとき、何故かリサがご満悦であった。
乗船手続きを済ませ、今一度海に出る。今度はそんなに時間はかからない。また各々が好きなように過ごす。
優愛はスマホをポチポチとして、リサは家族連れのお父さんに絡んでいる…。あいつアクティブすぎんだろ。多鶴子さんは船の先で、コレから向かう九州の方向を見つめている。
何を思い、何を考えているのだろうか…?そう言えば、今朝がた書いていたものはなんだったのだろうか?声をかけようとしたが、なんか野暮ったい気もして辞めた。
俺は邪魔をしないように一人歩いて、バイクのもとへもどる。
フェリーに乗ってみて俺は思ったのだが、船旅ってなんとなく旅してる感すごいと思う。別に理由なんてないけど、同じ国でもこんなにも違うものか…とついた先で思うからかもしれない。
たとえば京都の街、群馬の山道、愛媛の蜜柑の木、香川のうどんののぼり、その他に関わった人の言葉のイントネーションとか、同じ国でも全然違くて、でもその言葉や雰囲気の持つ温かさに変わりなんかなくて…そんな風に考えているとスマホが鳴る。
「もしもし」
{「お、翔馬か?おまえさんいまどこにいる?」}
じいちゃんだ。
「今、四国から九州に向かってるよ。どうした?」
{「そうか…いや、おまえが前言っていた男の人いただろう?なんだ?ネットで下調べしてるときに知り合ったとか言っていた」}
「あ、もしかして孝輔?」
{「おお!そうだそうだ!うちに来てな」}
「マジかあああ!すげえ!」
孝輔と言うヤツは、俺と同い年で日本一周を計画していたSNS上の友人である。俺が日本一周のために下調べをしていて、質問サイトなどを活用しているときに知り合い、俺はバイクで、そいつは徒歩とか、電車等手段は選ばないが日本一周をとにかく達成する。と言う目的をもち、お互いに健闘を祈りあった仲である。
連絡はあえて取らずに、何処かで会えたら面白いと言う話をして旅に出たのだが、「翔馬のバイク屋にはよってみようと思う」と言っていた。まさかマジで来るとわっ!!てかじいちゃんの電話で"会えたらおもしろい"が台無である…が、まあよかろう。
「じいちゃん、孝輔どんなヤツだった!?」
{「あ?あぁ―…頭良さそうだな。眼鏡をしていて、身長は高かいぞ。髪が黒い。わりと男前だな。」}
「まじか…確かに、書き込み方、頭良さそうな印象を受けた覚えあるわ…」
{「て言うかそいつな、今横にいるから代わるわ」}
「ええ!?マジか!」俺の返事をシカトして軽いノイズの後、
{「翔馬か?」}
「え?孝輔…?マジでおまえきたのかよ」なんか嬉しくて顔が綻ぶ。
{「ああ、言ったではないか、かならず行くと」}
「いや、孝輔さんマジかっけえす、てか声もかっこよくね?」
{「そうか…?ふむ、まあいい。先ほどおまえと祖父が話しているのを聞いたぞ、今から九州らしいな?」}
「え?ああ、ちょっと用事があってな、先に南下してんだよ」
{「なるほど…実話な、俺も南下しているんだが」}
「まあ、だろうな。おまえ確か出発"福島県"だったもんな」
{「ああ、そうなんだ。それでだな」}
待てよ、この流れ…まさか…
{「今から九州へ飛ぼうと思う。」}
キタ―――!予想通り!やっぱな。
「マジか、でもだいぶ県はしょることにならねえか?」
せっかくの日本一周だ。今しがた土地の違いに感動していたので、あまり飛ぶのはお勧めしたくない。
{「大丈夫だ。ちゃんと考えてある。」}
「いや、別に慌てる必要なくね…?九州」
{「時期的に見ておきたいものがあるんだ。」}
「そっか、ならまあ、止めねえけどさ」
{「そう言うわけだ。翔馬、もし会えたなら九州で会おう。」}
【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!】
リサに続いて私の中のもう一人のメインキャストがやっとこさ日の目を見そうでございます。
てか、色々悩んで書いた話を消したりしてたら三日たってた。(´・ω・`)スンマセン
またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん




