イチョウの下で会いましょう⑦
優愛の秘密を知った翔真。
テントに戻ると…
それから、俺の答えを聞いた優愛は、ホッとしたような表情をして、はにかんでお礼を言う。
「本当に、ありがとう。」
出会ったときは、厄介な奴に絡まれたと思っていたし、いろいろとめんどうだとも考えていたけど、今俺がした選択を間違っていると言われたとしても、きっと俺はこの選択を後悔はしないと思うんだ…。
その日二人で見た夜空には、大きな満月がのぼっていたーー。
・・・・
・・・
・・
・
優愛が旅を続けることが決まり、二人でテントに戻る。優愛はリサのテントに入り、俺は自分のへ戻った。中に入り、入り口側に乱暴に脱ぎ捨てられた寝袋を掴もうとして、あることに気づく。
テントの奥にあった荷物がよけられ、そこには、こんもりとした明らかに人が入っているであろう寝袋が横たわっている…。
「・・・・・。」
俺はその寝袋掴み、
「おい、リサ、ちゃんと自分のとこで寝ろよ!狭いだろ!」
といってガッサガッサと揺すった。するとリサが中から顔だけだして
「私の場所は翔馬のとなりよ!」
と言う。
「いや、おまえの場所は向こうだから、あの高そうなテントだから!」
「うるさいうるさい!韮崎とは寝たくせにっ!私とは寝れないの!?」
おまえええっ!!それ知らない人が聞いたら絶対勘違いするセリフまわしだからな!!
「いや、別に寝てないから!」
「浮気する男は皆そう言うのよっ!」
「いや、浮気もなにも付き合ってないじゃん!」
「酷い!私とは遊びであっちの子が本命だったって事ね!?」
「だから、本命とかそういった話じゃなくてだな!」
「あの子さえも!?あの子さえも!遊びなの!?」
(うわああああ!めんっどくせえええええ!何言っても泥沼のパターンなヤツ!!あれでしょ!?どう言い繕っても、上手いこと返されちゃうんでしょ!?まじめんどくせぇ!)
俺はとりあえず深呼吸をして、リサにゆっくり言う。
「まず落ち着こう、話はそれからだ」
「…避に「おおおおおっとおおおっ!」
リサが何かしらを連想させる単語を発する前にせいする。よくやった俺。
「わかった。ならそこに寝ろ、それでいいだろ?」
(まあ、狭いけど寝れないことはないし、別にやましいこともない。こいつが、セッ(※自主規制)とか、にっ(※自主規制)とか言う前にどうにかしなきゃならないしな。)
そう聞いたリサは満足そうな顔をして、「good night!翔馬!」といって目をつむった。
俺も寝袋に入り、隣に横になる。
「おやすみ」
目を閉じると、考え事が頭をまわる…
(優愛が家庭に馴染めないか…上手いことやれそうに見えるのは、きっと俺が優愛の事を何も知らない証拠なのだろう。…そう言えば、あいつ出会ったときは金髪だったな…今は黒いような…茶色いような…明日…聞い…てみる…か。)
そのまま俺は眠りに落ちていったーー。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
ーー翌朝、テントから出ると何故かジト目の優愛が腕を組んでテントの前にたっている…。近くに多鶴子さんの姿はない。とりあえず優愛に朝の挨拶をする
「おはよう」
優愛は頬を膨らませて「おはよう!」と何故か語尾強めに挨拶する
「お、おおう…」
俺がその姿にたじろいでいると、後ろからリサが起きて出てくる。テントからでて「ぅん~ーーっ!」と伸びをして「morning」と軽くあいさつし、優愛に気づく。そして
「あら、韮崎もおはよう!フフフ…」と言って、にた~っと笑うリサ。
「リサちゃん、お・は・よ・う!」今度は全部強めの優愛。
なぜだろう?何も悪いことはしていないはずなのに気まずい。だからとりあえずこの空気をどうにかしようと、俺は多鶴子さんの事を優愛に尋ねる。
「た、多鶴子さんは…?」
何故か優愛にキッ!と見られ、「朝御飯作ってくれてる!」と怒られる。もう一回だけ言わせて、何故だ。
「そ、そうか、なら皆で多鶴子さんのてつだ…い…を…」
俺がしゃべっている途中で、2回目の伸びをしながらリサがまた余計なことを言い出す
「あぁー!翔真が昨日、激しく揺らしすから腰がいたいわ!」
「おおおぅ!?」やべ、変な声でた。
それを聞いた瞬間、ピクリと優愛の眉が動き「ふ~ん」とだけ言って、踵を返し、多鶴子さんのいる飯盒炊飯場に歩いていった。
てか、マジ怖いんだけど。いや、本当に…なんで何も悪いことしてないのに俺はこんなにビクビクしなくちゃならないのか…
「おい、リサ余計なこと言うなよ!」
「だって本当の事じゃない!」
いや、確かにガッサガッサと、揺らしたけども…
「おまえはいちいち、誤解を招く言い方をしすぎだ!」
「ニホンゴムツカシイ」
コイツっ!!ペラッペラのくせにっ!!なめてんのか!…そんないきなり不機嫌な優愛と、小賢しいリサとの地味にめんどくい朝であった。
それから、朝食を食べに飯盒炊飯場にむかう、そこにはちょうど出来た料理を盛り付けている多鶴子さんとその手伝いをする優愛の姿があった。それを見たリサがパタパタとかけていき、手伝いに加わる。見た感じ、優愛も普通にリサに絡んでいる感じだった…朝のあれなんだったんだ…?
とりあえず俺もなにか手伝おうと近寄り、声をかける
「多鶴子さん、おはよう!俺もなんか手伝おうか?」
「あら、翔馬くんおはよう。これをテーブルへ頼んでいいかしら?」
と、味噌汁の入ったお椀(使い捨て)を渡される。それから、焼き魚、ご飯、多鶴子さんの持ってきていた漬け物がテーブルへならび、俺達は一斉に「いただきます」をして食べる。
「うわっ!味噌汁うまっ!玉ねぎと…肉?」
いや、味噌汁まじでうまい。お店レベルだと思う。それを聞いた多鶴子さんが
「ふふふ、昨日のカレーに使った豚肉のあまりをいれたのよ、お口にあってよかったわ」
いや、本当にまた食べたいと思える味噌汁は初めてかもしれない。優愛やリサも口々に「おいしい」「おいしい」と言って食べていて、それをにこにこと多鶴子さんは眺めていた。
それから、朝御飯を食べた俺たちは、キャンプ場を後にしたのだった。
【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!】
やっと、キャンプ場出た!次回滋賀県と京都府に突入します❗(´・ω・`)✨きゅぴーん
またみてね❗