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イチョウの下で会いましょう④

休憩を終えて、愛知県へと入った翔馬達は、本日の宿泊先を話し合いはじめてーー。



休憩を終わり、俺達は引き続き関西地方を目指して走っていた。

神奈川県をすぎ、愛知県へと突入する。


【愛知県】は、日本の中部地方に位置し、太平洋に面した県である。また、中部地方では一番人口が多い県でもある。【Wikipediaより】


また、言わずと知れた某車会社他、有名企業が数多くあるのもこの県の特徴であり、シソの生産量は全国一を誇る。他にもお城が沢山あり、金の(しゃちほこ)は日本で一番知られているお城飾りではないだろうか?【ココペディア調べ】


さて、しばらく走っていたが、西日も強くなってきて、本日の宿を決めなければならなくなってくる。


一日目は優愛もいたし、はじめてと言うのもありビジネスホテルへ宿泊し、二日目は橘家(たちばなけ)におじゃまさせてもらった。が、そんな毎回布団で寝れるほど金銭的余裕があるわけがなく、心苦しくはあるが、優愛にテントを提案してみることにする。


赤信号で止まっている時、「あつい…」と胸元をパタパタしている優愛に俺は聞いた。


「なぁ、今日の宿泊先なんだけど」



「へ?うん、どうしよっか?」



「金銭的事情を考慮すると、テントにしようかと思うんですが」申し訳なさからか敬語になる。なんかいやだ。


「なんで敬語なの?」


と案の定笑いながらツッコまれてしまう。ちくしょうはずかしい…!


それから、優愛は普通にテントで了承してくれた為、今度はリサ達に聞いてみることにする。ただ、リサ側には多鶴子さんがおり、高齢者をテントはかなり気が引ける。


そこで、とりあえず話をするべく道路のわきに止めてもらい二人と話をする。


「なあ、今日の宿泊先なんだけど」そう話始めると、リサがすぐに「私は翔馬とならどこでもいいわ」と言う。


そう言ってもらえるのはありがたいのだが、いかんせん多鶴子さんもいるし、やはり布団があるほうがいいのではないだろうか?


「多鶴子さんもいるし、テントは厳しくないか?」



そう言うと、何故か多鶴子さんが目を爛々と輝かせて言う。


「テント!?ふふ、わくわくするわね、楽しみねぇ」


いや、アナタは布団が良いと思うのですが…そんな話もどこふく風で、多鶴子さんは、テントに泊まる気まんまんとなっていた。


本当に大丈夫だろうか?と言う疑問が残るが、本人もそう言っていることだしと言うことで、本日は日本一周初の野外宿泊が確定した。それから、適当なキャンプ場に連絡をいれ、そこへ向かう。



途中、スーパーで今夜食べるようの食材や飲み物を購入してキャンプ場へと到着した。


到着して、俺はテントの設営にまわり、女性陣には食材の仕訳や料理の準備を行ってもらう。


俺はそこで、ふと思ったことがひとつある。リサは昔一緒にキャンプした事があるので、だいたい出来るのはわかるのだが…




優愛って料理できんのか?




そこで、先にリサの持っていたテントをたて少し女性陣の様子を見に行ってみることにする。てか、たてて思ったのだがリサのテントはわりとデカい。まあどうでもいいか。


そんな事を考え、キャンプ場に設置されている飯盒炊飯場へと向かう。



そして、俺の目に飛び込んできたのは、まさに無双とでも言えばいいのだろうか?めちゃめちゃ手際よく動き回る高齢者の姿だった。


その人は火をおこし、食材を切り、リサと優愛に指示だしまでしていた。おばあちゃん半端ない。


指示を出された二人もテキパキと動いている。


意外だったのは多鶴子さんもそうだが、優愛とリサがわりと仲良く楽しそうにしていることだった。


クローバー探しの時にでもなにかあったのだろうか?


まあなんにせよ、仲良き事は美しきかなである。と、こちらが見ていることに気づいたリサが手を振る、それに続くようにして優愛も手を降った。


俺はそんな二人のところまで歩いていき、少し話をする。


「どうだ?調子は」


そうたずねる俺に、優愛とリサが答える


「まだ途中だけど順調だよ」



「私の愛情を沢山いれといたわ!とろけないように気を付けなさいっ!」



「そうか、そいつはとろけないように気を付けないとな」


そんな会話をしていると、具材を鍋にいれて火の番をしてくれている多鶴子さんがこちらを向いて言う。



「ふふふ、リサちゃんと優愛ちゃんの働きぶりを見ていたけど、翔馬くん…二人ともいいお嫁さんになるわよ?アナタはどっちを選ぶかしらね?ふふ!」


おぅふっ!まさかの意地悪な会話のスルーパスに動揺する。


どちらかを選べだって!?

どこかの難聴系主人公か、はたまたヤクザの息子ならばどう逃げるのだろうか…?何のことかって?分からないならいい。いや、むしろ忘れてほしい。こちらの話だ。



「ははは、二人とも可愛いですもんね」



ぐっじょぶ俺。まさに無難!そう思いながら二人をチラ見する。


リサが何故か「えっへん!」と腰に手をあて、胸を張って勝ち誇っている姿が視界にはいる。そしてその横で優愛が「おおっ!」と言いながら小さくパチパチと拍手をしている。どうやら、何かがうまくいったらしい。


てか、話聞いてなかったのか。良かったと言うかなんと言うか複雑な気持ちになる。だがまぁ、そんな気持ちも一瞬で終わり、何がうまくいったか気になり、その勝ち誇る理由を目だけで探してみる。


すると、リサの足元にリンゴでできたペガサスを見つける…


「ってすげええええええええ!これどうやってんだ!?」


リサが俺を見て、更にどや顔をしてニヤリと笑う。そして腰に当てていた左手を前にだし見事にブイサインを決めて見せた。


てかマジですごい、リンゴってこんな形になるのかと思うほどだ!むしろ画像で見せたい!文字でしか伝えられないのがもどかしい!そういったレベルである。


すると、リサが得意気に言う。



「見なさい翔馬!これがあの有名な"グリフォン"よっ!」



ペガサスじゃなかったあああああああっ!!?まさかのグリフォン!?いや、伝わりずらいかもしれないが、リンゴは明らかに馬に羽のはえた形をしている。それをグリフォンと彼女は言っている!



そして、グリフォンと言う単語が出た瞬間、優愛の拍手が止まり、素で「え?」って顔をしていたのだが、絶対優愛もペガサスだと思っていたくちである。


そんな事をしていると、多鶴子さんがパンパン!と、手をならし一同がそちらに注目する。そして多鶴子さんは言うのだ





「それじゃあ、仕上げにそのリンゴ(ペガサス)を"すりおろし"ましょうか。」






前にも言ったと思うが、世の中って世知辛い。







【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!】










【次回】

『イチョウの下で会いましょう⑤』


またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん

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