イチョウの下で会いましょう③
なんかんやで宮崎行きを決めた翔馬。
いろいろと問題はあるが、悩んでも仕方ない。
とりあえず前に進もう!
それから、俺達はコンビニを後にして、一度神奈川県まで戻り、そこから静岡県、愛知県、滋賀県を経由してまずは関西に入る話となっていた。
【日本の外周距離】
ちなみに、神奈川県から宮崎県まではおよそ1100kmほどあり、日本の総外周距離は19,044.18km(北海道、本州、四国、九州の海岸線のみ)だと言われている。
まあ、この距離すべてを回るわけではないのだが、平均的な日本一周はだいたい12000kmほどで終わることが多いようだ。なんにせよ、走ってみなければ結果などでないので参考までに覚えてくれたらと思う。
【ココペディア調べ】
更にバイクにのるさい、リサが「何故優愛が翔馬の後ろなの!」とか大分意味のわからないこといったりしながら、なんやかんやあって出発することにした。
まずは、和人達と過ごした神奈川県を通る。
【神奈川県】
こちらは、東京都の南に位置しており関東の南西端にある県である。神奈川の由来は今は道路になってしまっている300mほどの川からきているらしい。また、同県内の政令指定都市は3つと日本最多である。【Wikipediaより】
さらに、言わずと知れた中華街や箱根、湯河原と観光にも優れており、観光客は後をたたない。魅力度ランキングでもトップ10内に名前を連ねる強者ぶりである。
【ココペディア調べ】
途中、和人達と過ごしたホテルを通る。今朝がた別れたにも関わらず、何故かずっと昔のように感じる。
そのままずっと走り続け、愛知県の手前、少し大きめの公園を見つけて少しだけ休憩することにする。
そして俺は朝もらったものを思いだし、肩から下げていたバッグから、由里子さんたちが握ってくれたおにぎりを取り出した。取り出して分かったが、それなりに大きくにぎってくれている。それを優愛にもひとつ渡す。
朝から食べてないし、コーヒーは溢すしとさんざんだったのでだいぶお腹がすいている。
渡された袋にはおにぎりの他、ウインナーを焼いたものと玉子焼きが入っていた。
それをみたリサが言う。
「それ、優愛が作ったの?」
すると多鶴子さんが
「いいわねぇ、とてとおいしそうよ、ふふ」
と言っていて、優愛は「ちがうよ、これは朝もらったの」と説明しながらおにぎりをはんぶんこにしてリサと多鶴子さんに渡そうとする。リサはそれを受けり「いいの?」と聞いて、多鶴子さんは「悪いわよ」と言っている。だが優愛が笑顔で「みんなで食べた方がおいしいよ、私は大丈夫だから」と言うと、それを受け取った。
リサはこう言うところ素直だなと思う。それにしても、優愛は人一倍飯食うくせに何やってんだよ。そう思い、俺はおにぎりを半分にして優愛に渡す。
優愛は一度断るが、「俺はこんなに食えないから」と言うと受けとる。
かくして、俺達は公園のベンチに腰掛け、不器用に分けたおにぎりを四人で食べたのだった。
その後、リサが少し園内を見てくると言って席をたつ、すると優愛もそれについていく事にしたみたいで、ふたりは散歩に出かけた。その時に少し多鶴子さんと話をする。
何故宮崎県までいくのか、と言う話だ。
話を聞いてみると、彼女には文通をする相手がいたのだが、その人から手紙が来なくなった。理由が気になるが聞けず、もう一度手紙を出してみることにして、外に出たらリサに出会ったらしい。それから、その話をしたらリサが「理由は直接本人に聞けば良いじゃない!」と言い出し、電話をしてみようと言うことになるが、本当に手紙しかやり取りをしなかった為、番号がわからない。調べればわかるかもしれないが、そこまでして良いのかなどいろいろと考えたらしい。分かるのは住所が宮崎県だと言うことくらい…
そうこうしていたら、リサが「私がつれていってあげる!」と言い出す。現実的に考えて、それは難しい。独身なので家族は街に住む親戚くらいだが、反対されるに違いない。それに自分は高齢者なのだ。自覚もある…。断ろうと思った次の瞬間、リサは多鶴子さんに言った。
「多鶴子、アナタはおばあさんだし、そんなに悩んでいたらその間に死んじゃうかもしれないわよ?それに、そんな状態で天国に行った時、そこで笑えるのかしら?私はいやだわ」
とても失礼なヤツかもしれない。だが、言っていることには一理ある。価値観の問題かもしれないが、高齢だからこそ、やれるうちにやらなければ、後悔することになりかねない。
それを聞いた多鶴子さんは嫌なヤツだとか、そういう風に思うことはなく、本当にそうかもしれない。と感心すらしたらしい。
そうして、高齢の旅人は、このチャンスを逃すと伊佐治さんには文字通り"一生会えないかもしれない"と思い、旅立つことを覚悟したそうだ。
リサはもとからかなりアクティブだが、多鶴子さんも負けず劣らずそう言う素質があるのかもしれない。
人が動く理由なんて、単純なのだ。気持ちに距離なんて物理法則は関係ない。そうしたいか、そうしないか、はたまたそこまではしなくていいのか。
要は想いの強さなのだと、俺は思う。
話が一段落した頃、ちょうど二人が戻ってくる。
ふと、リサの方を見ると手に何かもっている。それは、四つ葉のクローバーだった。それを多鶴子さんに渡す。
「ふふっ!多鶴子、見て!幸せを拾ったの!これでアナタは彼に会えるはずよ!」
その無邪気な笑顔を見て、多鶴子さんは微笑み
「ありがとうね、リサちゃん」
と言った。
これは後から優愛に聞いたのだが、リサは、はじめから公園になら幸せのクローバーがあるはずだから、と探すつもりであるきだしたらしい。そこにたまたま優愛がついてきた為、探すのを手伝ってほしいと優愛にお願いをしてきたらしいのだ。
あるかもわからないものを探すとか途方もないだろうが、それを探すのがリサで、それに付き合うのが優愛である。
俺はそんな二人を見て顔がほころんでいたらしく、優愛に「またやらしいこと考えてる」と、心外なことを言われる。
「考えてねえよ!」
「嘘だよ!エッチなこと考えてる顔してたよ!」
そこにリサが入る。
「翔馬!また優愛の胸見てたの!?信じられない!私の方が大きいのにっ!」
「見てねえよ!」
「見てたの!?」と優愛。
「だから見てねええええ!」
そんな俺たちを見て多鶴子さんはただ、ニコニコとしていた。
貰った四つ葉のクローバーを大切そうにそっと、そのしわしわの手に握りながらーー。
【日本一周の旅にでたら、家出少女ひろった!】
※キャラクター紹介
【名前】:薬師丸 多鶴子
【年令】:83歳
【性格】:穏やかな性格で、とげのないタイプ。
【好きな食べもの】:しるこサンド、黒飴、肉
またみてね❗(´・ω・`)✨きゅぴーん